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2年前のモーターショーは予測を下回ったとはいえ、140万人を超える入場者があったが、今回は100万人の目標に対して、61万4400人、前回比57%減という結果で終わった。ほんの一部を除き外国メーカーの展示が事実上無いに等しく、普段なかなか見ることのできないクルマに接する喜びもなく、ハイブリッドと電気自動車がショーの主役で、複数の新型国産スポーツカーの展示には休日に人垣ができたものの、各社の展示ブースもそれぞれの収益状況をあたかもそのまま反映しているかのようだった。遠隔地から幕張まで足を運び、1300円という安くはない入場料を払って入場した方々の落胆たるや、十分に察しが付く。今回は海外からのプレスも極端に少なかったが、アメリカから来た友人の自動車専門誌記者が半日ショーを視察した後で発した言葉「半日で十分だ!」は、今回のショーをいみじくも言い表していた。日本市場の低迷と若者のクルマ離れがますます深刻さを増すなかで、大きな課題を残す東京モーターショーとなった。
今回の「車評オンライン」では以下メーカー名のアルファベット順に、各社の展示シーン、プレスブリーフィングにおけるトップマネージメントのメッセージの主要ポイント、そして各社に対する私の「やぶにらみ」の意見をご覧いただければ幸いである。
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(以下の赤文字はトップのプレスブリーフィングの中の主要ポイント、以下同)
- タントの販売は堅調に推移しているが、このクルマを軽量化し、燃費を向上したタントEXEを導入する。
- 「小型車による地球環境への対応」に注力、そのためには軽量化、低燃費、低価格の三つがキーワード。イース(e:S)(写真右上、左中央)はそのような視点からの提案で、全長は軽枠よりも短く、車重700kg、エンジン改良も含めて30km/Lを達成、2〜3年以内に発売したい。
- 既存技術の改良に加えて燃料電池他の技術開発も進める一方で、コスト構造改革を推進している。
今回日本メーカーの中で唯一ハイブリッドに言及せず、展示もしなかったメーカーがダイハツだ。軽自動車をビジネスの中核に据えるダイハツとしては「軽自動車にハイブリッドは必要ない」と考えていることを十分にうかがわせた。e:Sはミニマムな4人乗りだが、思い切った軽量化と、究極まで効率化した次世代エンジンによりハイブリッド車にせまる30km/Lの燃費を追求中とのこと、ダイハツのこのチャレンジには拍手を送りたい。もちろん、燃費はあくまでも「実用燃費でハイブリッド車にせまる」こと、デザインも従来の軽とは一線を画するものをめざしてほしい。
一方でアピールは地味だったし、e:Sへの搭載は言及されていないが、2気筒の次世代軽自動車エンジンは興味深い。なぜなら、これは日本版のTSIエンジン(直噴エンジンとターボの組み合わせ)だと思うからだ。TSIはVWによる導入以来、日本メーカーにもぜひ挑戦してほしいと願ってきた技術であり、単気筒当たり300cc前後がベストというVWの考えとも一致しているようで、性能と燃費の究極のバランスに期待がもてそうだ。ただし2気筒の振動と音にどのように対応するかは興味深い。
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- 2008年、世界でバイクを含み2300万台を販売したが、環境エネルギーのトップランナーをめざす。
- 今回はFCXクラリティー(燃料電池車)(写真左中央)、EV-N(コンパクトEV)、EV-Cub、U3-X(1輪モビリティー)などの電動モビリティーワールドを展示。
- 現在ハイブリッドの普及に注力中で、CR-Z(1.5L i-VTECエンジン、6速MT)(写真右中央)は2010年2月から日本、欧州、北米で販売開始、またSKYDECK(写真左下)は6人乗りのマルチパーパスハイブリッドのコンセプトカーだ。
ASIMO、U3-X 、EV-Cub、EV-Nなどがステージ上を動き回り、今回のショーで最もエンターテインメント性の高いデモをしていたのがホンダだ。EVや燃料電池にも力を入れる一方でホンダが現在開発に最も注力しているのはハイブリッドである。まずは来年2月導入のCR-Zは、6速MTを採用、インッテグレーテッド・モーター・アシストであるが故に、「やっぱりスポーツカーにはエンジンの鼓動が不可欠」といえる、乗ることの楽しいクルマに仕上がることを期待している。また今回展示はされなかったが、フィットクラスのハイブリッド車も導入が待ち遠しい。
ホンダで今大きな変革が必要なのは内外装デザインではないだろうか。インサイトはもっと独自性がある魅力的な内外装デザイであってほしかったし、新型ステップワゴンは、室内居住空間やシートのアレンジ、ミニバンとしては稀有な乗ることの気持ち良さなどは高く評価したいが、デザイン上のチャレンジは十分とはいえない。また最新のアコードやインスパイアのデザイン上の質感にも「?」マークを付けざるを得ない。CR-Zもときめきを感じるデザインとは言い難い。内外装デザインの大幅な変革によりホンダ車の魅力は倍増するものと思う。
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- LF-Ch(写真左下)はハイブリッドシステム搭載のプレミアムコンパクトカー。
- LFA(写真右上、左中央)はレクサスならではのスーパースポーツで、ニュルブルクリンクサーキットで鍛え上げたクルマ、2010年に発売、限定500台
- 開発初期から自分も味づくりに協力、上品で魅力的な味を作りこんだが、このような限界までの挑戦はクルマづくりの本質に通じるものだ。
レクサスの日本市場での苦戦を払しょくすべく導入されたハイブリッド車HS250は予想を上回る初期の販売台数を記録しており、それにつづき、LF-Chが投入されるのだろうが、今回の話題の中心はLFAだった。ただしクルマ好きの新社長の思いは理解できるものの、3750万円という価格で、世界で500台の限定販売ではレクサス販売店の経営改善に貢献できるとは思えないし、開発費の回収すら不可能なはずであり、はたしてレクサス、ひいてはトヨタにどのような意義をもたらすクルマかは判断に苦しむところだ。ただし、このモデルが先駆けとなって、ハンドルを握ることの楽しさ、気持ち良さの点で褒められるクルマの少なかったトヨタのクルマづくりが大きく転換することを期待したい。また欧州の自動車メーカーのトップにもみられるように、社長自ら開発に参画することの意義は決して小さくはない。ただし社長一人ですべてのトヨタ車の味付けをリードすることは不可能なので、エクスパート集団の育成いかんにかっかってくることは間違いない。
新社長が「クルマには夢と憧れが大切、そのためには"味"が大切で、全てのクルマにそれぞれの味が求められる。スタイル、乗り心地、走り味、クルマは料理に負けず奥深いもの」とのべているように、欧州市場におけるプレミアムポジションの確立も大きな課題であるレクサスにとっても、乗り心地、走り味は当然として、内外装デザインも大変重要な要素だ。残念ながらLFAのデザインは私の心をゆさぶってはくれなかったし、過日欧州のEFSという会社が実施したCDセグメント車の内装プミアム性評価をみても、欧州におけるレクサスの内装評価が決して高くないことも明らかで、デザイン面でのてこ入れは必須な課題だと思う。(小生が日経オートモーティブテクノロジー、2009年11月号に関連記事を執筆)
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- 2011年から「SKYコンセプト」を導入、2015までにグローバルに30%燃費改善する。
- SKY-G(ガソリンエンジン)(写真左中央)は燃費と出力を15%改善、アクセラクラスに搭載し、デミオなみの燃費実現、2011年に国内導入、SKY-D(ディーゼルエンジン)(写真右中央)は現行比燃費20%改善、アテンザで現行デミオなみの燃費、次世代ATと合わせて2011年に導入、次世代変速機SKY-DRIVEはデュアルクラッチDSG以上の性能で、燃費は5%改善される。
- コンセプトカー「清」(写真右上)は1.3LのSKY-G、SKY-DRIVE、i-ストップ、減速エネルギー回生システム、デミオ比−100kgの軽量化、空力特性の改善などにより32km/Lを実現する。
短時間に全てがハイブリッドやEVになることはありえないので、「ベース技術の徹底改善」に焦点をあてたSKYコンセプトは評価したい。欧州市場の比重が高いマツダとして適切な戦略ともいえるだろう。ただしなぜ今回のダイハツのようにTSIコンセプト(直噴エンジンと過給機の組み合わせ)が入っていないのだろうか? 内燃機関の効率アップには有効な手段と考えるのだが、軽量化の思想と反するからだろうか? また「清」で標榜している32km/Lというダイハツのe:Sよりも良い燃費は単なるカタログ上の目標値ではなく、「実用燃費がハイブリッドに準ずるレベルになる」と期待していいのだろうか? 「清」のデザインに関して言えば、「デザイナーの自己満足」の域を出ておらず、空力性能や、ブランド戦略などとの関連を強力に模索してゆくことが大切だと思う。
今回のモーターショーでプレマシーの水素REハイブリッド車(写真左下)は展示されてはいたが、REに対する言及がほとんどなかったのは残念だ。またプレスデーの初日、プレスブリーフィング用のスペース確保のためとはいえ、RX-8が展示から外されていたのも理解できなかった。何人かの友人のジャーナリストから「マツダはロータリーをやめるのだろうか?」と聞かれた。次世代REやRE車、次世代ロードスター、Zoom-Zoomの今後の進化などに対する提案がぜひ欲しかった。
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- i MiEVすでに600台納車、2010年からは個人顧客にも販売、2011年からはイギリス、香港、など11カ国にも販売開始、電池の二次利用も検討開始、i MiEV Cargo(写真左中央)の導入も検討、今後EVを基幹事業に育成する。
- 2013年にはプラグインHV導入、コンセプトカーPX MiEV(写真右中央)展示、EV、シリーズ&パラレルHVをコントロール、FRモーターによる4輪駆動、給電モードも。
- 2020年にはプラグインHVは20%程度に拡大するだろう。
三菱の展示のメインテーマはEVとプラグインハイブリッドだった。先日iMiEVに一日試乗する機会をもったが、その走行性能に対する満足感は予想を大きく超えるものがあり、三菱のEVパイオニアとしての開発努力には大いに頭が下がった。ただし、現時点では価格が高く、航続距離も短く(公表値は160kmだが、一般ユーザーの使用条件ではとてもそこまでは無理)、充電のためのインフラが日本全国に行き渡るのはまだまだ先で、EVで経営を支えられるようになるにはかなりな期間を必要とすることは間違いない。
そこに至るまでの世界の販売網を維持するための商品群の充実、これこそ今三菱に一番求められていることではないだろうか? 軽自動車もスズキやダイハツの後塵を拝しているし、ランサーエボリューションが展示されていないのも意外だった。コルトのモデルチェンジはいつごろか? ギャランフォルティス、ランサー、アウトランダーなどのテコ入れは? 国内はもとより、販売が危機的な状況にあるアメリカ市場の根本的なテコ入れに向けての商品対策は? こうしたことが今回のショーからは見えてこなかったのが残念だ。2013年に導入予定というプラグインハイブリッドの開発の進捗には大いに期待したい。
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- CO2削減に注力、(EV、クリーンDE、ハイブリッド)、Time is now for zero emission!
- LEAF(写真左右上):2010年後半に日米欧に導入、バッテリーを除外して現行車と同コストが目標、軽コマーシャルバンのEV化、ランドグライダーなども検討中。
- NECと共同でオートモーティブエナージーサプライを設立、2010年から座間で電池の量産を開始、一方で住友とのジョイントでバッテリートータルライフマネージメントをめざし、リチュームイオンバッテリーの家庭用への再利用などをめざす。
ニッサンも今回のショーはEV一辺倒だった。かつてはトヨタとハイブリッド技術で肩を並べていたはずだが、その後の経営のかじ取りにより、トヨタに大きく遅れをとったことに対する起死回生の戦略と見ることもできそうだ。リーフというEVはカリフォルニアのゼロエミッション規制も視野に入れたものだろうし、アメリカ、中近東、中国、更には日本の一部の地方自治体との話し合いなどの面では他の日本メーカーの先をゆき、EVへのインセンティブや一部地域におけるインフラの整備などにより、限定された市場は確保できるのかもしれないが、バッテリーのコスト、航続距離、充電インフラなど、まだまだ大きな課題を抱える現状でEVに社運をかけるとするならば、大きなリスクを伴うのも事実だ。
また今回のショーには新型フーガのハイブリッドモデル(写真左下)が展示され、ハイブリッドも忘れてはいないと主張していたが、もっと小型のハイブリッドはやらないのだろうか? 私にとってはフーガクラスのクルマのハイブリッド化はあまり意義を感じない。地球環境に配慮するならば、もっと小型なクルマに乗る方が、はるかに意義があると思うからだ。またフーガのモデルチェンジは保守的であり、日本の市場には限界がある。日本を含む世界市場を真正面から見据えた小型車の企画、更にはデザインの革新などが今の日産にとってEV以上に大切なテーマなのではないだろうか?
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- 「快適/信頼と地球環境との整合」がスバルのめざす方向、そのために、プラグインステラ、シンメトリカルAWDの継続と進化、軽はダイハツからのOEMに、小型スポーツはトヨタとの共同活動順調
- 「ハイブリッドツアラーコンセプト」(写真左右上、左中央)は、前に直噴ターボエンジンと発電、駆動用モーター。後ろに駆動用モーターのAWD、アイサイトプラスも装備
- 走りの訴求のためにインプレッサ(写真左下)、エクシーガにSTIシリーズを導入する
今回トヨタがFT86を展示していたのに、なぜスバルはそのスバル版を展示しなかったのだろうか? アッパーボディーのデザインがトヨタの手になるものだからか、あるいはアメリカがスバルにとって大切な市場ゆえに、アメリカのショーでのお披露目をと考えているからなのか? ある専門誌の予測では「スバル版は4WDターボに決定」とあるが、事実ではないことを願っている。これからのスポーツカーはこれまで以上に、絶対性能の高さよりも日常領域でのうれしさ、楽しさこそがますますキーになると思うからだ。ハイブリッドツアラーコンセプトは単なるコンセプトカーの域を出ないもので、正直いってもっと実現性の高いモデルをぜひとも見せてほしかった。
「快適/信頼と地球環境との整合」がスバルのめざす方向というが、本当にそれだけで良いのか? スバルには、見て、乗って、わくわくするクルマづくりに是非とも注力してほしいと思うからだ。その意味からもスバルもデザインの革新に総力をあげる必要があろう。インプレッサ、エクシーガ、レガシイなど、最近のスバルのデザインには大きな「?」マークを付けざるを得ないからだ。また地球環境との整合をうたうスバルが、軽はダイハツからのOEMで本当によいのか? 今後軽自動車の果たす役割は一段と拡大するはずであり、「21世紀のスバル360」のような画期的で、しかも世界に通用する軽自動車をスバルに期待したい。
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- 「小さなクルマ、大きな未来」がスズキのテーマ。
- FCスクーター(写真左上)は700気圧の水素で航続距離は350km、展示のSX-4(写真右上)にはGM製燃料電池システムを搭載している。
- スイフト プラグインHV(写真左中央)を開発中、660ccの小型エンジン、リチュームイオンバッテリーを搭載。
「小さなクルマにこそ大きな未来」があると私も思うし、最近のスズキのクルマづくりにはその勢いを感じる。ここ数年、スズキデザインは大きく前進していると思う。スイフトに始まり、新型のワゴンRもなかなかの出来だし、スプラッシュは日本のコンパクトカーの中でも秀逸のデザインだ。その中で「きざし」のデザインはあまりにも保守的だ。瀕死に近いアメリカ市場挽回の一手のはずだが、新しさを感じないのが残念だ。また今回展示されていた新型アルト(写真右下)は、フロント周りを中心になぜかもう一歩デザインの熟成が不足しているように感じる。フロント周りはマツダバージョンの方がいい。今回展示はされなかったが、遠からず次期スイフトがお目見えするはずだ。現行モデルが大成功だった故に、モデルチェンジは容易ではないだろうが、現行モデルを大きく上回るデザイン、走り、燃費になることを心から期待している。
スズキ車は最近どのモデルも運転することの気持ち良さが大幅に改善されてきているのもうれしいが、この点でもスイフトが大きな転換点となったようだ。スプラッシュは日本のコンパクトカーの中ではハンドルをにぎることがひときわ気持ち良いし、ワゴンR、アルトラパン、パレットも例外ではない。そのほか、実用燃費の改善努力でも競合メーカーをリードしているように思う。そして今回展示されていた「軽自動車のエンジンを使ったスイフトクラスのプラグインハイブリッド」、一刻も早く登場してほしいクルマだ。ハイブリッドをトヨタとホンダの専売特許としないためにも。
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- クルマには夢と憧れが大切、そのためには「味」が大切、先味(乗りたくなる)、中味(乗って楽しい)、後味(もっと乗りたい)が大切で、高性能車に限らず、全てのクルマにそれぞれの味が求められる、スタイル、乗り心地、走り味、クルマは料理に負けず奥深いもの
- HV:プリウス以来50カ国以上で販売、200万台を超えた。HVのラインアップを拡充、しかしHVが全てではなく(トヨタのHVはすでに半分はEVでもある)、今はクルマの再発明のタイミングともいえる。(PHV、EV、FCなど)
- 若者のクルマばなれ:クルマばなれはメーカー自身の問題でもある。FT-86はクルマ本来の楽しさを追求したクルマ。
従来の日本メーカーのトップからは聞くべくもなかった上記のような言葉が新社長の口から真っ先に飛び出してきたのはうれしい。もっともこれはトヨタに限らず、日本の自動車メーカー全てがもつべき問題意識でもある。さもないと欧州車とのギャップはますます拡大、韓国車はもとより、遠からず中国車とも世界市場で真っ向からぶつかりあい、挙句の果てはイギリスの自動車産業の二の舞を踏むことになりかねないからだ。トヨタのようなとてつもなく大きな組織で、こうしたトップの思いをカスケードする(社員全員に浸透する)ことは至難のはずであり、今後どのようにしてトヨタのクルマづくりが変革してゆくのかを大いに注目してゆきたい。
その意味からもFT86(写真右上、左中央)のお披露目は(デザインはぞっこんになれないが)、貴重だった。ただし社長のプレゼンテーションを含むトヨタの情報の中に「スバル」に一言も触れていないことには違和感があった。「FT86のパワートレインはスバルの情熱あふれる人たちの成果のたまもので、そのおかげでこのクルマが誕生しました。これまでのスポーツカーとは一味も、ふた味も違う新時代のスポーツカーにぜひとも期待して下さい。」と言えば、さらに多くの人たちがFT86ファンになってくれるのではないだろうか。一方でプラグインハイブリッドへの期待は大きい。どうみてもEVよりもはるかに実用性が高く、価格的にも有利なはずだからだ。それにしてもトヨタとレクサスの展示ブースが、他社に比べて最も平板で、ほとんどのクルマがヒラ置になっていたのは、いかに赤字から脱しきれずに苦戦を続けているとはいえ、あまりにも残念だった。なにしろトヨタはいまや押しもされもせぬ、世界ナンバーワンのメーカーなのだから。
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今回のショーのその他の何点かを以下簡単に補足しよう。まずは展示された輸入車は、BMW ALPINA(写真左上)、 ケーターハム(写真右上)、ロータス(写真左中央)、CT&T(韓国製のEV)と非常に限られたもので、何ともさびしかった。COTY(日本カーオブザイヤー)(写真右中央)は30周年を記念して、大きな展示スペースを確保してその存在をアピール、プレスデーに会場で今年のカーオブザイヤーを選定/公表するとともに、歴代の受賞車を展示した。また空きスペースがどうしても埋まらなかったためか、東ホール入口に近い大きなスペースには多数の子供の絵が並べられていた(写真左下)のが何とも寂しかった。そして皮肉にも、休日、最後まで入場待ちの列ができたのは、SONYのプレイステーションのブース(写真右下)であった。
以上が今回のモーターショーのアウトラインだが、冒頭にも述べたように、日本の自動車産業のこれからのいばらの道をまさに暗示しているともいえそうで、主催団体である自動車工業会は今回の結果をきびしくうけとめ、多くのオピニオンリーダーや若者の意見も参考にしつつ、今後のショーに対する有効な戦略を打ち出し、メーカーを強力にリードしてゆく必要がある。また自動車メーカー各社も今回のように予算を極端に削減したことがみえみえとなるような展示ではなく、クルマ好きの心を揺さぶる提案と、来場者に満足と興奮を与えられえるような展示を心がけることが大切だ。
日比谷公園でスタートを切った「東京モーターショー」、当時中学生だった私は学校帰りに毎日ショーの会場に立ち寄った時の興奮を今でも鮮明に覚えている。前回も自動車工業会に対して学生さん無料化を主張、今回から中学生までは無料化されたが、次回からは学生さんは勿論、場合によっては一般客も無料化するぐらいの覚悟が必要だろう。それにより次世代の日本の自動車産業の担い手たる、子供たちや若者たちの来場を最大限うながし、彼らのクルマに対する関心を少しでも高めることがなによりも大切だからだ。
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