2024年5月24日
2024年5月11日(土)に佐倉草ぶえの丘(千葉県佐倉市)で「第11回サクラ・オートヒストリーフォーラム」(サクラモータークラブ主催)が開催されました。その様子をお伝えします。(レポート:編集部)
主催のサクラモータークラブは2011年8月に設立され、クラシックカーの展示と観賞、また動態保存に努めるクルマ愛好家の交流を主としてイベントを開催するとともに、この活動を広く告知することで自動車文化の継承と普及を行なっていくことを活動の目的としています。
開会式の後、主催のサクラモータークラブが参加者の中から選定した20台が、佐倉市内の沿道約9キロをパレード走行しました。そしてパレードの後は、モータージャーナリストの飯田裕子氏が会場内をまわり、参加車両について直接参加者にインタビューをする「愛車自慢トーク&トーク」が行なわれました。
このイベントでは毎年テーマが決められていて、テーマに関する特別展示と講演が恒例となっています。今年のテーマは「ミッドシップカー」で、ステージ横の特別展示はトヨタMR2、ホンダNSX、フェラーリ308GTBの3台でした。
また、テーマに関する講演「オートヒストリーセミナー」では「スタイリッシュで、普段使いのミッドシップが良い」と題して、初代MR2のデザインを担当された、元トヨタ自動車のデザイナーの梅田晴郎氏が登壇されて、当時のデザインスケッチなどとともにMR2のいくつかのデザイン画や試作車(プロトタイプ)が紹介され、ミッドシップカーの特徴やMR2の優れた利点など直接開発を担当された梅田氏ならではの興味深いお考えが語られました。
MR2の語源は、コンセプトの「ミッドシップ・ランナバウト」の略称。「2」は2シーターを表している
アイデアスケッチの例
「重量物を車体中心に収めるミッドシップレイアウトは、理想的な重量配分が可能となり、快楽的な操縦感覚が楽しめる」と説明された
「しかしミッドシップ車は、2シーターで室内空間が狭くトランクスペースの確保に苦労する。なおかつエンジンルームの整備性も良くない」と快楽的な操縦感覚と引き換えにしたものもあると語られた
MR2はミッドシップレイアウトの利点を最大限に活かして、高い操縦性能により、楽しいドライビングが可能となるクルマに仕上がったことを語って講演を締めくくった
ランチタイムには、出張ジャズサックス奏者の大吉輝氏による音楽ライブもありました。また、会場である佐倉草ぶえの丘はバラ園が特徴で、そのほかにもミニ鉄道や動物と触れ合えるコーナーなど、家族で楽しめる場所でした。
ここからは、参加されていた車両の中から、一部を紹介します。
今ではほとんど見ることができない360cc~550cc時代の軽自動車
写真手前のクルマは、ギア社によってデザインされ、カルマン社により製造されたフォルクスワーゲン・カルマンギアカブリオレ
“羊の皮を被った狼”の異名で呼ばれるプリンス自動車が開発したスカイライン2000GT(左の2台)
当時“ケンメリ”の愛称で人気のあったスカイライン。左は近年の旧車イベントではあまり見ることの少なく、生産台数の少ない日産スカイライン2000GT-R(1973年)、右は2000GTと思われる
米国で販売された珍しいキットパーツを取り付けたホンダ・スーパーカブC50(手前)と奥のモデルのC100(OHVの初代スーパーカブ)の2台が目を引いた
「HONDA N360 ENJOY CLUB」のメンバーの愛車たち(手前の2台はホンダN360、その奥にはホンダスポーツが並ぶ)
プリンス・グロリア6ワゴン(手前)や日産ブルーバードエステートワゴン(奥)など、イベントでもあまり見られないクルマが参加していた
左からシトロエンCX、シトロエンSM、アルファロメオ75エボルツィオーネ。国産車だけでなく輸入車も数多く参加していた
1964年に登場し、約22年間モデルチェンジしなかった三菱デボネア。このモデルのエンジンは2600ccなので3ナンバーだが、ボディサイズは5ナンバー枠に収まる
入退場時に元気に走る姿が印象的だった、使い込まれた商用車の状態を維持するダイハツ・ハイゼット
電動折り畳み式のハードトップを採用し、500台限定で販売されたトヨタ・ソアラエアロキャビン
イベント後半では、主催者や協賛各社による、印象に残った出展車両に対する表彰が行なわれました。主催のサクラモータークラブからのご依頼により、三樹書房とグランプリ出版も協力し、「三樹書房賞」「グランプリ出版賞」として賞品の提供および受賞車の選定をさせていただきました。各賞と受賞車両は以下の通りです。
サクラモータークラブ賞
シトロエンSM
トヨタMR2
ホンダC100TRally(バイク部門)
ブリヂストン賞
トヨタ・スポーツ800
三樹書房賞
トヨタ・ソアラエアロキャビン
グランプリ出版賞
日産ブルーバードエステートワゴン
草ぶえの丘園長賞
日産ブルーバードSSSターボ(910型)
「オートヒストリーセミナー」や「愛車自慢トーク&トーク」のMC、そしてサクラモータークラブ賞のプレゼンターを務めたモータージャーナリストの飯田裕子氏
「三樹書房賞」の受賞者様には『60年代 街角で見たクルマたち 【日本車・珍車編】』が贈られました。
「グランプリ出版賞」の受賞者様には『コロナとブルーバードの時代』が贈られました。
三樹書房/グランプリ出版のブースでは、ながのノスタルジックカーフェスティバルと同様に、新刊書籍をはじめ懐かしいクルマの写真やイラストのパネルなどを販売しました。
雨天だった去年と違い今年は天候にも恵まれ、出展した参加者や一般の参加者ともに楽しんでいる様子が見られ、とても良い雰囲気のイベントとなっていました。