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2023年5月1日

2023年4月22日(土)、東京都港区赤坂にあるイースタン青山ビル1階前庭にて、「歴史遺構 多摩川スピード・ウエー観客席 披露式」が行なわれました。(レポート:編集部)

今回お披露目された観客席の一部は、当時のままの姿で残されていた観客席が2022年の堤防の改修で撤去されることが決定した際に、多摩川スピードウェイの会の働きかけにより一部が切り出され、有志の一部で保管していたものです。

披露式前の観客席の様子。

このたび、多摩川スピードウェイの会の会員、藤本隆宏氏(東京大学名誉教授、早稲田大学教授)が事務所を構えるイースタン青山ビル1階の前庭に観客席の一部が設置され、当時多摩川スピードウェイで活躍された方々のご子息や、報道関係者、有識者の方々を前に、除幕が行なわれました。なお、藤本隆宏氏の御祖父、藤本軍次氏は大正時代以来、日本での自動車競走の創始と発展に貢献し、多摩川スピードウェイの建設とレース運営においても、中心的役割を果たした方です。

除幕を前に、設置の経緯などを説明する藤本隆宏氏。

観客席の脇に設置された説明版の除幕の様子。

藤本隆宏氏は除幕の際に、
「100年前の4月22日は、日本初の本格的な自動車レースである、第二回自動車競走が洲崎埋立地で行なわれた記念の日に当たり、感慨深いものを感じます」「観客席の切断面をみると、鉄筋を使わない、要塞と同様の純コンクリート構造で、建造当時から残る表面の砂利石も良質で、全体にお金をかけた豪華仕様の構造物であったことがわかります」「このように立体的に展示しているところはまだないので、ぜひ多くの皆様に見学して欲しい」
と語っています。

説明版の執筆を担当した三重宗久氏(左)と藤本隆宏氏(右)。

観客席の一部が設置された前庭には、多摩川スピードウェイの歴史を紹介した説明板が設置されています。これは、『戦前日本の自動車レース史 藤本軍次とスピードに魅せられた男たち』(三樹書房刊)などの著作を持つ、自動車史研究者の三重宗久氏と藤本隆宏氏により執筆されたもので、当時の多摩川スピードウェイの様子を窺うことができます。

前庭にある観客席の一部は、イースタン青山ビルの前に面しており、いつでも見学することができます。
披露式に出席した多摩川スピードウェイの会のメンバーによる記念撮影。左から2人目の太田邦博氏は、1912年に“オオタ”を創業した太田祐雄氏の御令孫で、現在はタマチ工業の取締役会長を務めています。

●場所:イースタン青山ビル1階前庭(東京都港区赤坂8-5-41)

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