2022年8月30日
第1回 「車評オンライン Ver.Ⅱ」
※今回からは、2021年度から休止した小早川隆治氏による「車評オンライン」を引き継ぎ、“車評チーム”のメンバーによる試乗・評価に切り替えることになり、「車評オンライン Ver.Ⅱ」と名称を変更してスタートしました。
ダイハツ 新型「ムーヴ キャンバス」試乗会レポート
2022年8月5日(金)、千葉県の上総一ノ宮において、ダイハツ広報部主催による新型「ムーヴ キャンバス」のプレス向けの試乗会に参加したので、その試乗レポートをお届けしたい。当日は、天候にも恵まれて、時間帯も通勤時間後の午前中だったため、空いている道路でムーヴ キャンバス(以下、キャンバス)の2つのモデルにそれぞれ約60分間試乗した。(レポート:小林謙一)
【概要】
初代キャンバスは、2016年にデビューしているので、今回は約6年ぶりのフルモデルチェンジになる。初代キャンバスは、フォルクスワーゲンのタイプⅡをイメージさせるユニークな外観デザインで、個人的には以前から興味ある軽自動車の一台だった。この初代キャンバスは女性(約9割)を中心に販売を伸ばして、今までの累計販売数は38万台に及ぶという。今回の新型開発にあたり、大人世代や男性にターゲット層を広げ、山間部などからの要望によるターボモデルの追加が検討され、
①「ストライプス」と「セオリー」の2つモデルの設定により異なる個性を表現
②ユーティリティ[使い勝手]の更なる向上
③ターボモデルの設定
が新型の開発コンセプトとなった。ボディは約50kg軽量化され、燃費は10%向上したと発表されている。
デザインは、「ストライプス」は丸みのあるすっきりとしたかわいらしさを表現し、「セオリー」はシックで落ち着いた雰囲気を演出することを追求したという。それぞれのモデルにターボ仕様と2WDと4WDが設定されており、月販目標は、6,500台、価格帯(税込)は、1,496,000円から1,919,500円に設定されている。
ダイハツ ムーヴ キャンバス(参考出品:オプション装着車)
【評価手法】
■以下、試乗評価に関して説明します。以前から弊社が主体となって結成している「車評チーム」は、確認する項目を明示して、その評価を続けてきました。同時にそれぞれの項目に関しての短評を行ない、5点満点で評価として採点して、平均値を出すことでそのクルマの総合評価としています。評価する項目は16に及びますが、今回のような一般の試乗会では実用燃費が計測できないので、燃費評価を無くして以下の15項目で実施しています。
1.商品コンセプト 2.外観スタイル 3.内装デザイン 4.運転の楽しさ 5.性能&走り感 6.ステアリング/ハンドリング 7.ブレーキング 8.振動&騒音 9.乗り心地 10.室内居住性 11.前後座席12.操作機器&メーター類 13.利便性/使い勝手 14.全体の品質感 15.お買い得感
車評オンライン Ver.Ⅱでは、各項目に1から10ポイントの点数をつけて、合計点の平均値を「総合評価点」のポイントとしています。
※尚、「車評チーム」による新型車の評価手法は、マツダRX-7の開発責任者や1991年にマツダチームがルマンで優勝した時にモータースポーツ主査を務めていた小早川隆治氏が設定された車評用「評価シート」をベースに採点しています。
■ムーヴキャンバス ストライプスG(2WD)CVT 車両価格1,672,000円(本体:1,520,000円+税)
タイヤサイズ:155/65R14(エナセーブEC300+ダンロップ社製)
1.わかりやすいデザイン/シンプル/色調も楽しい○
2.丸みのある親しみやすい外観
3.明るくてきれい、2トーンの内装もセンス良い○
4.ハンドリングが正確でボディ剛性高く、ふらつかない印象
5.加速悪くない、市街地でも充分な加速力
6.切り始めの応答性○、戻るときの印象もスムーズ
7ブレーキングは自然なタッチ、効き始めはしっかり感あり
8.エンジン音静か、CVT加速時のみ音が出る△、路面からのタイヤノイズあり×
9.ギャップの突き上げ感少ない、以前よりサスペンションは硬め○
10.前後共に室内空間充分 運転席の足元広い◎ ペダルレイアウトOK
11.ファブリックのシートは適度に硬くて印象よい 前後シートの大きさも充分○
12.ナビ等の操作系はすべてに手が届く 時計もタコメーターも見やすい○ シンプルで分かりやすい◎
13.1台であらゆる利用に応えられる印象、使い勝手も良いだろう○
14.各部品の仕上げなど質感高く、軽自動車として各部の作りが安っぽくない
15.NAモデルは150万円くらいの設定だが、安全装備などを考えるとバリュー
3大魅力点
・使い勝手の良い軽/軽自動車として格段に広い室内
・ハンドリング良く、室内の静粛性も良い
・クラスレスを感じるセンス良いデザインと色調、質感の高さ
この点をもう少し改善できれば
・タイヤノイズあり
・質感をさらに求めて革ハンドルは標準装備にして欲しい
・CVTの進化と更なる軽量化
備考
個性的でオシャレなデザイン、軽自動車として独自のポジションを確立
何にでも、どこにでも行けるユニバーサルなイメージ○
収納も多くてシートヒーターなどの装備も充実
使いやすいメーター、見やすいモニター○
後部座席は傾斜角4°から50°のリクライニング機構付き○足元充分
コンビニフックは便利な位置
エンブレムが立派
やはり革ハンドルが欲しい
総合評価点:8.40ポイント
■ムーヴキャンバス セオリーG ターボ(2WD)CVT 車両価格1,793,000円(本体:1,630,000円+税)
タイヤサイズ:155/65R14(エコピア+ブリヂストン製)
1.男性も意識したモデル 各部ブラックアウト仕様
2.コンセプトを考えると多少違和感ある(ボディに丸みがあるから)△
3.シックであるが、オリジナルモデル(ムーヴ)の明るい方が色調など良い
4.革製のハンドルや一部革製のシフトノブのタッチがやはり良い ハンドリングもストライプスより○
5.低速から力強いターボによる加速◎ トルクあり 普通車と変わらない印象○
6.ステアリングは切り始めからタイヤが応答 かなりしっかり感がある○
7.剛性良い きちっと利くイメージ
8.タイヤノイズはNAのストライプスより静かに感じる(タイヤか?)
9.突き上げをうまくこなしていて好ましい 悪くない
10.室内広く、ヘッドスペースも充分(狭苦しく感じない)
11.前席滑らないシートでホールド○ リアシートサイズも○ リアシートにストライプス同様にリクライニング機構付
12.ディスプレイ○ 使いやすい メーターのデザイン良く見やすい(時計も)
13.サイズ小さく日本の道路にはぴったり 荷物もたくさん積める 4人がきちんと乗れるのも◎
14.すべりにくいシート素材 室内共に悪くない
15.コンセプトを考えると、男性や年配者には馴染みにくいライトのデザインがマイナス点△
3大魅力点
・ハンドリング、乗り心地良い
・走り感良く、加速も良く、コーナーが楽しい
・年齢の高い人や男性などにも選びやすくなったデザイン(エクステリア・インテリア)
この点をもう少し改善できれば
・ヘッドランプ内のランプ回りのデザインのみコンセプトから考えると違和感あり、シックに変えるとさらに良い
・テールランプも内部のみデザインをより大人っぽいデザインに変えれば、よりストライプスと差別化できる
・インテリア内の2トーンの色調は、色調を検討して欲しい
備考
ストライプスのタイヤからの音はより静かで、ハンドリング良い◎(シャープ)
ステアリングの重さは非常に良くコントロールされている
適度に沈み込むサスペンション コントロールしやすい
シフトレバーもレザー(半分のみ)で質感高い印象
総合評価点:8.53ポイント
ダイハツ ムーヴ キャンバス(参考出品:オプション装着車)