2019年10月16日
アルファロメオのスポーツサルーン「ジュリア・クアドリフォリオ」と同SUVの「ステルヴィオ・クアドリフォリオ」に、F1への参戦を記念した限定車「F1トリビュート」を設定、11月より販売すると発表されました。その様子をお伝えします。(レポート:相原俊樹)
去る10月11日、FCAジャパン(株)は東京都内の会場にて、アルファロメオのスポーツサルーン「ジュリア・クアドリフォリオ」と同SUVの「ステルヴィオ・クアドリフォリオ」に、F1への参戦を記念した限定車「F1トリビュート」を設定、11月より販売すると発表した。ジュリアは6台の限定生産で、価格は1459万円。ステルヴィオは4台限定で、1495万円。
発表会は同社広報部長の清水 良子氏によるあいさつでスタート。次いで登壇したマーケティング本部長ティツィアナ・アランプンセ氏による、同社とF1との歴史を語ったプレゼンテーションは聞き応えがあった。
以降、氏が取り上げたトピックに若干の情報を加えながら話を進めていこう。
レギュレーションを統一し、世界各地を転戦しながら各レースでの入賞順位に応じてポイントが与えられ、年間の総合得点で競うという現在のF1世界選手権に通じるシステムが初めて確立したのは1950年のこと。この年、アルファロメオは参戦した6戦すべてに優勝、圧倒的な強さを発揮して、ドライバーのジュゼッペ・ファリーナが初代F1世界選手権チャンピオンに輝いたのだった。
1976年、アルファロメオはエンジンサプライヤーとしてF1に復帰。78年のスウェーデンGPに登場した「ブラバムBT46Bアルファロメオ」は鬼才ゴードン・マレーによる画期的な設計だった。同マシンはこのGPに優勝するが、レギュレーション上物議を醸し出し、その後、姿を現すことなく終わった。
2017年、アルファロメオは30余年ぶりとなるF1復帰を発表。アルファのあのエンブレムがF1フィールドに戻ることになり、アルフィスタはもとより世界中のモータースポーツファンを喜ばせた。復帰初年度は「アルファロメオ ザウバーF1チーム」として参戦。2年目の今年は「アルファロメオ レーシング」へチーム名を一新して挑んでいる。
アランプンセ氏の手際のいいアルファF1ヒストリーを継いで、元F1ドライバーの井出 有治氏と、FCAジャパン アルファロメオ・プロダクトマネジャーの平野 智(さとし)氏が登壇。平野氏が質問を投げかけ、井出氏が答える形で「F1トリビュート」の解説が始まった。
以降、2人のトークセッションから明らかになったF1トリビュートの特徴を紹介する。
F1マシン「レーシングC38」の魅力的なカラーリングはFCAのデザイン部門「チェントロ・スティーレ」の作品であり、同様なモチーフが「F1トリビュート」にも活かされている。
F1トリビュートの開発にはザウバーエンジニアリングが関与しており、専用設計のフロントエアロスプリッター、大型サイドスカート、大型リアスポイラーで構成される空力パーツは、同エンジニアリングとの共同開発で、空力面で実効を上げているという。
外観で際立つのはカーボンV字型グリルやグロスブラックフロントグリル/ディフューザー、カーボンエクステリアミラーハウジングといった専用アイテム。これで標準モデルとの差別化が図られている。
エンジンを専用にチューンし、アクラボヴィッチ製排気システムを採用した結果、最高パワーは510psから520psに向上。ブレーキはサーキット走行を視野に入れてカーボンセラミック製を装備した。
室内ではカーボンインサート付きステアリングホイール、スバルコ製のカーボンバケットシート、レッドシートベルトなどが備わる。ちなみにこの専用シートは軽量化にも寄与し、ブレーキシステムと排気系と併せて、車両全体で27kg以上の軽量化を果たした。
最後に当日のサプライズとして、アルファロメオ・レーシングのキミ・ライコネン選手とアントニオ・ジョヴィナッツィ選手からのビデオメッセージが披露された。
この記事を読んで「F1トリビュート」に興味を抱かれた諸氏は早速最寄りの正規ディーラーに問い合わされたい。なにしろ最初に紹介した通り、ジュリアが6台、ステルヴィオが4台という極めつけの少数限定モデルなのである。