2014年8月21日
おかげさまで『破壊された日本軍機』は発売以来、好評をいただいております。今回の再版の経緯についてご説明します。
『破壊された日本軍機』再版にあたって
2004年に初版を刊行後、多くの読者の皆様から色々な反響がありました。特に専門家の方々からは、終戦直後、混乱の中で、日本国民には知らされることなく、進駐軍によって実際に行われた歴史的な事実を知ることができる極めて貴重な写真集であること、およびこの日本語版は、石澤和彦氏によって充実がはかられた「残っている宝物としての日本軍機」の章により、原著以上ともいえるほどの完成度である、というような評価を受けました。おかげさまで堅調な販売を続け、ここ数年同書は品切れになっておりました。
近年、戦争を知る人たちの高齢化が進み、あらためて戦争について考えるきっかけとなればと石澤氏に今回の新装版として同書の刊行をご相談し、著者のロバート・C・ミケシュ氏のご了解をいただいて再版の運びとなりました。
初版の出版に当たっては、石澤氏がロバート.C.ミケシュ氏の原書に対する強い憧れと尊敬の念を持って、同氏の気持が可能な限り率直に伝わるように配慮しながら翻訳作業をしてくださいました。
そこで、今回の新装版においても初版の精神を活かすため、明らかな誤記(原文を含む)や誤植を除き、原則としてそのまま再版する方針としました。
特に第9章の「残っている宝物としての日本軍機」では初版から10年を経て、残存日本軍機の所在地や復元状態に若干の変化もみられますが、上記の理由でこれも敢えてそのままとさせて頂きました。
所在地が変わった例では、名古屋空港ターミナルビルに展示されていた零戦32型が九州の筑前町立太刀洗平和記念館に移設したこと、復元作業が進展して完成機に近づいた例としては河口湖飛行館の1式陸攻や零戦が挙げられます。
また、海外で復元作業が進展した例として、アメリカのフライイング・ヘリテイジ・コレクションやリジェンド・フライヤーズなどで数機の零戦の例があり、飛行可能な機体も増加しつつあることも最近の特徴です。
今回の再版では、カバーデザインを変更し、本文紙を写真の再現性に長けたものに替えました。
先日の8月15日終戦記念日に読売新聞に広告を打ちましたところ、おかげさまで多くの反響をいただいております。本書はTAIU(米航空技術情報部隊)が当時を記録した第一級の資料でもあります。ぜひ手に取っていただければ幸いです。
三樹書房 編集部