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2014年4月7日

先月刊行しました『トヨタ クラウン 伝統と革新』。おかげさまで、みなさまより反響をいただいています。今回、編集するにあたりどのような本をめざしたかをお伝えしたいと思います。

編集部より

 本書は、2009年に『トヨタクラウン 日本初の純国産高級車の変遷』として、その半世紀を超える足跡をまとめておくことを目的として刊行しました。戦後の国産乗用車を代表する、といっても過言ではない「クラウン」の歴史をまとめたものは、意外なほどに類書が少なく、刊行時には想像以上の反響をいただくことができました。  2012年、クラウンが14代目となり、大きな変化を遂げて登場した際に、本書増補版の計画が持ち上がりました。著者の小田部家正先生とも相談のうえ、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)で副会長を務められた、小堀勉氏に増補部分の執筆をお願いすることとし、ご快諾をいただきました。さらに増補版の編集過程において、6代目マジェスタが発売されることとなり、このマジェスタの情報までを収録することとしました。  初代クラウンが誕生したのは、1955年に遡ります。当時多くのメーカーが海外のメーカーと技術提携をして乗用車開発を進めてゆくなか、豊田喜一郎氏の「日本人の頭と腕で国産の大衆車を」という創業の理念に基づいてつくられた、まさに純国産の乗用車といえます。発売後、日本を代表する乗用車に成長を遂げるのは、多くの方々のご存じのとおりと思います。しかしながら、クラウンは単純な保守の姿勢に留まらず、常に最新技術を投入し、時にはスタイリングの変革に挑戦してきたことも忘れてはいけないことです。  現在のクラウンは、これまでのクラウンを育ててきたユーザーを満足させ、かつ新しいユーザーにもアピールしなければならないという、まさに端境期にあるともいえます。本書では、そのクラウンの歴史や伝統とはどのようなものなのか、クラウンらしいということは何なのか、さらには先人たちが紡いできたそれらを守ってゆくことの大変さ、ということなどについて、時代順にモデル変遷を追いながら解説しています。本書をとおして、あらためて日本人のための乗用車、クラウンという存在について考えるきっかけになれば幸いです。

三樹書房 編集部 山田国光

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