2014年4月25日
『シトロエン2CV フランスが生んだ大衆のための実用車』の著者、武田隆さんに書き終えての感想と本書の読みどころを教えていただきました!
::::::::::::::::::::::::::::::::
シトロエン2CVは、クルマ好きから一目置かれるだけでなく、ある種の「フランス名物」の自動車として親しまれてきました。
本書ではまずは文章主体で、なぜあんなユニークなクルマが誕生したのか、その歴史を、開発当時の資料も参照しながら、掘り下げて解説しました。
そのあと、100頁ほどのカラー頁で、2CVが時代とともに、どう育っていったかを追っています。困窮の終戦直後から、学生運動の時代を経て、豊かで恵まれた時代に世の中が変わってゆく中で、2CVは人々に愛されながら、時代に合わせて生きてきました。そして、開発当初の「大衆のために徹したクルマ」という基本コンセプトを守り続けました。
2CVの不思議さを、まじめに謎解きしようとすると、やや骨が折れますが、2CVの魅力を楽しむのは簡単なことです。
シトロエンが制作したカタログや広報写真は、実に巧みに2CVの資質・魅力をアピールしています。
シトロエンの広告活動は古くから、ユニークで優れたものとして知られます。2CVもその典型で、カタログや写真そのものが、クリエイティブな作品として見ごたえがあります。
カラー頁ではそれらを紹介しながらクルマの変遷を追っていますが、カタログ作品そのものについても、なるべく文化的背景も含めて言及するようにしました。ときには漫画(バンドデシネ)のストーリーや、007映画に出演した2CVなどについても紹介しています。「2CVワールド」を堪能できるかと思います。
本書では2CVのほかに、ディアーヌ、アミ、メアリなどの兄弟車もとり上げています。写真を見るだけでも、2CVが生きてきた時代の雰囲気が理解でき、気軽に楽しめる内容になっているのではないかと思います。
武田 隆