2013年11月13日
新刊『いすゞ乗用車1922‐2002』の著者である当摩節夫さんより、今回の本の読みどころと書き終えての感想をいただきました!
発売以来、好評をいただいている新刊『いすゞ乗用車 1922‐2002』ですが、今回、著者の当摩節夫さんより、今回の本の読みどころや執筆にあたっての思いなどを寄せていただきました!
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いすゞ自動車が乗用車の生産を終了してから早くも20年が過ぎた。そろそろ「ええっ!いすゞって乗用車を造っていたの?」などのささやきが聞こえてくるころではないかと気になり、忘れられないためにも、いすゞ製乗用車の全貌を記録にのこしておこうと決心し、発刊したのが『いすゞ乗用車 1922-2002』である。
いすゞの乗用車は、十分に個性的なベレット。天才的なカーデザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロにデザインを委ね、いま見ても美しい117クーペ。提携した米国GM社の世界戦略車構想の一翼を担ったジェミニ、アスカなど、他の自動車メーカーとは異質な歴史をたどってきた。そして、ユーザーの要望なのか、技術者の思いつきなのかは分からぬが、ここまでやるかと思えるほど頻繁に仕様やモデル構成が変更されている。これらの変更にゴーサインを出したのは、常にベストを探求するいすゞ自動車の社風なのかもしれない。
そのようないすゞのクルマ造りの姿勢を反映してか、いすゞ乗用車のオーナーにはマニアックな方々が多いといすゞ広報から聞いていたので、「僕の、私のクルマが載っていない」と言われぬよう、細心の注意を払ってカラー頁の写真を選択した結果、予定をはるかに超えて600点ほどになってしまった。しかし、カットはせずすべて載せたので、現在所有する、あるいはかつて所有していた愛車の姿をカラー頁の中に発見できると思う。万が一載っていなかったらごめんなさい。
筆者が自動車カタログの収集を始めるきっかけとなったのは、1954年の春、偶然手に入れたカタログの中に、柔らかな曲線とシャーベット・トーンで描かれた女性像の絵で有名な東郷青児の作品を表紙に取り入れた、いすゞバスのカタログに魅了されたのが始まりで、以来60年間いすゞの販売店に足しげく通い、集めたカタログを整理して完成したのがこの本である。いすゞのカタログには魅力的なものが多いので、見るだけでも楽しんでいただけると思う。
当摩節夫