第6回 2004年/Z33型フェアレディZを投入

2024年11月27日

2003年の全日本GT選手権(JGTC)で、R34型GT-Rが計3勝をマーク。NISMOが2冠を達成するなど、GT-Rのラストイヤーで王座を奪還したニッサン勢は翌2004年のJGTCにニューマシン、Z33型のフェアレディZを投入した。

同マシンのベース車両となったのは、前後のオーバーハングを延長した特別仕様車、タイプEで、アンダーフロアを延長することによって床下の空力性能を追求。さらにフェアレディZではGT-Rよりもエンジン搭載位置を低く、後方にオフセットできたことから、低重心化も推し進められていた。また2シーターボディのメリットを生かし、効率的に車体軽量化・高剛性化を図った。
搭載されたエンジンはGT-Rのパワーユニットとして2002年シーズンの途中から使われていたV型6気筒ツインターボのVQ30DETTで、高速コースでのパフォーマンスは健在だった。Z33型フェアレディZはこの鍛え上げられたエンジンに加えて、高い剛性やボディ形状を活かしたエアロダイナミックスの進化、さらに低重心化の追求により、ストレートのみならず、コーナリング性能も優れたマシンに仕上がっていた。
事実、2004年のJGTCにはNISMOの1号車「ザナヴィニスモZ」を筆頭に、ハセミモータースポーツの3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」、TEAM IMPULの12号車「カルソニックIMPUL Z」、NISMOの22号車「モチュールピットワークZ」といったように4台のフェアレディZがGT500クラスに参戦しており、ニッサン勢はシーズン序盤から素晴らしい走りを披露していた。

2004年の全日本GT選手権はTIサーキット英田で幕を開けた。予選でトップタイムをマークしたのが、NISMOの22号車「モチュールピットワークZ」の影山正美/ミハエル・クルムで、同チームの1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが2番手タイムをマークした。ハーフウエットで幕を開けた翌日の決勝は、スリックタイヤでスタートしたポールポジションの22号車「モチュールピットワークZ」は後退。さらにスタート直前にレインタイヤに履き替えていた1号車「ザナヴィニスモZ」もタイヤ交換のタイミングが違反に問われたことで、ドライブスルーペナルティを受けて下位に沈むこととなったが、「クルマの調子がよかったので、あきらめないという気持ちで走ったことが結果につながったと思います」と本山哲が語るように、1号車「ザナヴィニスモZ」は脅威の追走で逆転勝利を獲得している。
第2戦のスポーツランドSUGOは3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」を駆る金石年弘/エリック・コマスの6位がニッサン勢の最上位に留まったが、第3戦のセパンサーキットでは12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が予選でトップタイムを叩き出すと、決勝では1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが3位、3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」を駆る金石年弘/エリック・コマスが4位に入賞。
さらに第4戦の十勝スピードウェイでは3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」を駆る金石年弘/エリック・コマスが予選でトップ、12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が同2番手、22号車「モチュールピットワークZ」の影山正美/ミハエル・クルムが同3番手につけたほか、決勝では22号車「モチュールピットワークZ」がシーズン初優勝、3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」が3位で表彰台を獲得するとなど、フェアレディZが躍進していた。

その勢いはシーズン後半戦でも健在だった。第5戦のツインリンクもてぎでは、予選で2番手タイムをマークした1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが3位入賞を果たすと、第6戦のオートポリスでは予選で3番手につけていた1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが決勝で躍進した。「自信を持っていけました。クルマの速さに助けられました」と本山哲が語るように、1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが逆転でシーズン2勝目を獲得した。
そして最終戦となる第7戦の鈴鹿サーキットでは、3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」の金石年弘/エリック・コマスが予選で2番手、12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が同3番手につけた。「今年は不運が多かったけれど、いつかは勝てると思っていました」とブノワ・トレルイエ、そして「一番最初にチェッカーを受けられて嬉しかったですね。今年は勝てそうで勝てなかったレースが続いたけれど、最後にこういう形で締めくくられたので良かったです」と井出有治が語るように、決勝では12号車「カルソニックIMPUL Z」が逆転でシーズン初優勝を獲得。3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」が3位で表彰台を獲得した。

このようにニッサン勢はニューマシン、フェアレディZを武器に7戦中4勝をマーク。さらにタイトル争いにおいても2勝を含めて計4回のポディウムフィニッシュを達成した1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが、ドライバー部門で2連覇を達成した。さらにチーム部門でもNISMOが2連覇を達成するなど、ニッサン勢はフェアレディZのデビューイヤーで二冠を達成したのである。

 

2004年の開幕戦に合わせて主力モデルをR34型GT-RからZ33型フェアレディZに変更。前後のバンパーを延長した限定モデル、タイプEをベースとするマシンで、ストレートのみならずコーナリング性能も高いマシンに仕上がっていた。
ニューマシン、フェアレディZは開幕戦のTIサーキット英田で躍進。NISMOの22号車「モチュールピットワークZ」を駆る影山正美/ミハエル・クルムが予選でトップタイムをマークしたほか、決勝では1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲(左から2人目)/リチャード・ライアン(左から4人目)が逆転でフェアレディZのデビューウインを飾った。
第2戦のスポーツランドSUGOでニッサン勢は苦戦の展開。それでも、予選で11番手に留まったハセミモータースポーツの3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」を駆る金石年弘/エリック・コマスがニッサン勢の最上位となる6位でチェッカーを受けた。
第3戦のセパンサーキットでもフェアレディZは素晴らしい走りを披露している。予選で9番手に出遅れた1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが粘りの追走で3位に入賞。シーズン2度目の表彰台を獲得した。
第3戦のセパンサーキットでは12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ(右端)/井出有治(右から2人目)が予選でトップタイムをマーク。決勝では他車と接触し、リタイアすることとなったが、フェアレディZの速さを印象付ける一戦となった。
第4戦の十勝スピードウェイでは、予選で3号車「G’ZOX・SS・ハセミZ」の金石年弘/エリック・コマスがトップタイム、12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が2番手タイム、22号車「モチュールピットワークZ」を駆る影山正美/ミハエル・クルムが3番手タイムをマークしている。
第4戦の十勝スピードウェイ。決勝では22号車「モチュールピットワークZ」を駆る影山正美(左から3人目)/ミハエル・クルム(左から4人目)が逆転優勝。3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」の金石年弘/エリック・コマスが3位で表彰台を獲得した。
第5戦のツインリンクもてぎでは、1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンが予選で2番手タイムをマーク。決勝でも3位入賞を果たし、シーズン3度目のポディウムフィニッシュを達成した。
1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンの勢いは九州ラウンドでも衰えることはなかった。第6戦のオートポリスでも1号車「ザナヴィニスモZ」は予選で3番手につけたほか、決勝でも逆転でシーズン2勝目を獲得。本山哲/リチャード・ライアンがドライバー部門でタイトル争いに王手をかけたほか、チーム部門では最終戦を待たずしてNISMOが2連覇を達成した。
最終戦の鈴鹿サーキットでは3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」の金石年弘/エリック・コマスが予選2番手タイム、12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が3番手タイムをマーク。決勝では12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が逆転で今季初優勝を獲得した。
12号車「カルソニックIMPUL Z」のブノワ・トレルイエ/井出有治が最終戦の鈴鹿サーキットでシーズン初優勝を獲得した。フェアレディZはデビューイヤーにも関わらず7戦中4勝を獲得。3号車「G’ZOX・SSR・ハセミZ」の金石年弘/エリック・コマスが3位で表彰台を獲得した。
2勝を含めて4度のポディウムフィニッシュを達成したことで、ドライバー部門を支配する1号車「ザナヴィニスモZ」の本山哲/リチャード・ライアンは、最終戦の鈴鹿サーキットで7位入賞。チーム部門とともにドライバー部門でも2連覇を達成した。
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