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第126回 コンシューマーレポート「最良のクルマをつくるブランドランキング」
2021.4.27

アメリカの消費者雑誌『Consumer Report』(以下CR)が昨年11月19日に自動車の信頼性に関するブランドランキングを発表、マツダが1位を獲得したことはすでに車評オンライン第122回でご報告しているが、2021年2月18日にCRが、"Which Car Brand Make the Best Vehicle?"(最良のクルマをつくるブランドランキング)というテーマで32のブランドを総合評価し発表、4月号として発刊された。以前にもご報告しているようにCRは日本国内の大手の書店が取り扱っておらず、オンラインで入手した情報と、米国の友人がメールで送付してくれたランキング表をベースに以下ご報告したい。

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ご参考までに自動車特集号の表紙写真だが、これは4月号の表紙ではない。

前回と重複するが、まずはCRに関する情報から始めよう。CRは1936年に創刊され、現在の発行部数は雑誌が400万部、WEB版と合わせ730万と、圧倒的な規模を誇り、クルマに特化したバージョンも年間2回発行されている。327エーカーのテストコースを自ら所有、独自に厳しい商品テストも行うとともに、広告を一切取らないことも含めてクルマの購入を検討する顧客にとって自動車専門誌とは異なる非常に影響力の大きなメディアだ。

順位決定手法
今回発表された「最良のクルマをつくるブランドランキング」は、「ロードテストスコア」、「信頼性予測」、「顧客満足度」、「安全性スコア」を判断基準にモデルごとに得点を算出し、最後に当該ブランドの全モデルの得点を平均化して各ブランドの総合得点を決定したとのこと。以下がそれらの項目だ。

①ロードテストスコア:CRがCRを名乗らず購入したモデルを50以上の項目に関するテストを自ら実施した結果
➁信頼性予測:読者から寄せられたモデルごとの17項目の信頼性に関するデータ
③顧客満足度:そのモデルを再度購入したいと思っているか否かをたずねたことに対するオーナーのレスポンス
④安全性:衝突テストの分析に加えて標準装備されている安全装備が判断基準

トップ10ブランドの前年度との比較、総合得点、テストしたモデルとおすすめモデル
以下は前年ランキングとの比較、総合得点、テストしたモデル数、おすすめモデル数をブランドごとに並べたものだ。

1位:マツダ(3ランク上昇)80(7/7)
2位:BMW(6ランク上昇)78 (12/10)
3位:スバル(変わらず) 76(7/5)
4位:ポルシェ(3ランク下降)76 ( 4/3)
5位:ホンダ(10ランク上昇)75 (10/8)
6位:レクサス(1ランク下降)75 (8/7)
7位:トヨタ(5ランク上昇) 73 (19/15)
8位:クライスラー(10ランク上昇)74 (2/1)
9位:ビュイック(10ランク上昇) 72 (3/2)
10位:ヒュンダイ(3ランク下降)71 (9/6)

CRによると、今年のカーブランドランキングではいくつかのブランドのランキングが大きく上昇する一方で、いくつかのブランドは大きく下降したが、このような大きな変化はブランド内の個別モデルの信頼性に関するデータ(読者ユーザーの所有するモデルの信頼性に関するデータ)に起因するところことが大きく、今年の結果をみると、マツダ、スバル、ポルシェが前年同様トップランクに位置し、ホンダは10ランク上昇してトップ5に輝いたが、これも信頼性に起因するもので、本年クライスラーとビュイックがトップ10入りを果たしたのも、それぞれの商品群の信頼性の向上によるところが大きく、対してジェネシスやリンカーンはいずれもランクが大きく下降したが、これもそれぞれの商品の信頼性に起因したものだという。

米国メディアもマツダの1位への躍進をたたえており、80点という総合得点は全ブランドの中で唯一であるとともに、信頼性予測がベストで、その要因としてCRは信頼性の立証されたプラットフォームやパーツなどの横展開と、カーナビゲーションも含む情報システムを過度にリニューアルしない姿勢もあるとしている。CRがテストしたモデル(マツダの場合7車種)すべてが「おすすめ」となっていることは評価できる一方で、ロードテストスコアはBMW、スバル、ポルシェ、クライスラー、アウディ、テスラなどに及ばず、顧客満足度もテスラやリンカーンに及ばない。信頼性ランキングと今回のブランドランキングで1位となったことは非常に喜ばしいが、世界市場における販売実績はダントツとは言い難く、商品体系、商品コンセプトも含めたマツダにおけるクルマづくりの課題はまだまだ残っているといえよう。

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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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