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第111回 東京オートサロンの魅力
2020.1.27

今回は2020年1月10日から12日まで幕張メッセで開かれたカスタムカーと関連製品の展示会「TOKYO AUTO SALON 2020」に関連するご報告を私が撮った写真を中心に行いたい。実質的には二日半の一般公開期間の入場者は過去最多の336,060人となり、会場はクルマと展示製品、そして人であふれかえっていた。東京モーターショーに比べてクルマ好きの人たちにとってははるかに魅力的なショーであることは間違いなく、今後の東京モーターショーのあるべき姿への大きな示唆も与えてくれるものになると思う。

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これらの写真は会場と一部メーカーのブースの風景だが、今回最も力が入っていたのはトヨタで、「GRヤリス」のグローバルデビューを行い、プレス対象の時間帯に豊田章男社長が出席、「GRヤリス」による世界ラリー選手権挑戦も発表した。東京モーターショーにおけるトヨタのブースとはその意気込みが違うように感じた。

トヨタ以外のメーカーの発表内容には余インパクトのあるものは見られず、例えばマツダの事例をご紹介するならば、「モータースポーツ」というテーマは悪くはないのだが、どのような活動に結びつけてゆくかの具体的な提案がなかったのはが残念だ。今年のデイトナ24時間への挑戦、アメリカのIMSAとル・マンとの競技規則の統一化に対する今後のマツダの戦略、底辺モータースポーツへの注力、モータースポーツとSKYACTIV技術との今後の関りなどを是非とも発表し、関連する車両やエンジンなどを展示して欲しかったと思うのは私だけではないはずだ。

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グローバルデビューした「GRヤリス」はモータースポーツを前提に新開発された1.6L 3気筒ターボエンジン(272ps)、6速マニュアルトランスミッション、センターデフのない電子制御4WD、スポーツモード付VSCなどを装備、価格は396万(RZ)と、456万(RZハイパフォーマンス)だが、今後世界ラリー選手権でどのような活躍を見せるかは非常に興味深いものがある。ホモロゲーション上、連続した12か月間に2500台以上の生産、ベース車両全体で25,000台以上の生産台数が必要とのこと、1月10日から6月30日までの期間限定予約で果たしてどのような予約実績に結びつくか注目したい。

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毎回オートサロンの出展車両の中で非常に多いのが「スーパーカー」だが、今回はそれに加えて「スーパーSUV」と呼んでもいいクルマが多く出展されていたのが印象的だったので、それらの一部を私の写真で恐縮だがご覧いただければ幸いだ。これらのクルマはクルマ好きの人たちにとって、自分の購入対象にはなりにくいが非常に興味深いカテゴリーであり、東京モーターショーではほとんどお目にかかれない車種だし、輸入業者にしても東京モーターショーに出展する費用は非常に高額と聞いているので、とても負担できるものではないだろう。

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「スーパーカー」、「スーパーSUV」とは対照的な軽自動車、中でも軽SUVも軽市場の中で大きなシェアーをしめており、スズキのハスラー、ダイハツのタフト、三菱のeKクロスなどは今後の市場評価が楽しみなモデルだし、ホンダの「S660」、「コペンGRスポーツ」などの軽スポーツも興味深い。

今回会場内に出展されたいたクルマの中で最も目についたのはトヨタスープラと、すでに導入後30年近く経過したFDRX-7のカスタムカーの展示だった。電気自動車、自動運転などが拡大してゆく中でも「スポーツカー」が依然として多くのクルマファンの心を捉えるものであることを意味しているのではないだろうか。

18年末に納車を始めたスーパーSUV「カリナン」がロールスロイスの販売台数を牽引、2019年の販売台数が25%も伸びるとともに、購入者の平均年齢が10歳以上若返ったという。これは一つの示唆を与えてくれるもので、セダン、ハッチバック、ステーションワゴン、ワンボックスカーなどの従来型商品体系にこだわらず、心高まる「スポーツカー」、「スポーツバージョン」、「スポーツユーティリティービークル」など活動的なライフスタイルに対応した商品系列を充実することは、今後の日本メーカーの生き残り&市場開拓にとって非常に大切なことではないかというのが、今回のオートサロンを通じて私が改めて感じ取ったポイントだ。

以下は今後の東京モーターショーに対する私の提案であるが、会場内に「スーパーカーコーナー」、「スーパーSUVコーナー」、「モータースポーツコーナー」、「スポーツカーコーナー」などを設け、主催者側(自動車工業会)がスペース費用は全て負担し、関係社には展示車両の提供だけをしていただくことを真剣に考えてみる価値があるのではないだろうか? これらのコーナーの増設はクルマファンの来場の大きな引き金になるものと確信する。東京モーターショーの会場、期間に関しても一言追記しておくと、有明と青海の分割された会場での開催は避けるべきで、もう一度幕張に戻すことも真剣に検討すべきではないか? また一般公開は出展社の費用低減も考えれば7日もあれば十分だと思う。


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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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車評 軽自動車編
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