今年も、8月3日(金)~5日(日)の3日間、幕張メッセにおいて開催された「Automobile Council 2018」を取材したので、ほんの一部を紹介する。Automobile Council 2018は「Classic Meets Modern」をテーマに、過去2回同様、日本車・輸入車メーカーとヘリティッジカー販売店などが出展し、青春時代にあこがれたクルマ、幼少期に夢見たクルマと最新モデルが一堂に展示され、過去から現代に至る歴史にスポットライトを当て、各々のブランド固有のフィロソフィー・魅力を発信し、わが国の自動車文化の創成を図るべく企画された祭典で、3回目となる今年の入場者数は3万人を超えて3万484人であった。
今回、新たなプログラムとして、初日の正午から午後5時までのプレミアムタイム来場者が、展示された販売対象車のなかから、最も気に入った1台を投票して決める「Automobile Council 2018 Car of The Year by J-WAVE」(通称J-WAVE AWARD)を導入。初日の夜は、ザ・ペニンシュラ東京による飲み物とフィンガーフードと、日野皓正さん、宮本貴奈さん等によるエンターテインメントと共にクルマを楽しむ「プレシャスナイト」。さらに、最終日には展示車の一部を特別入札方式で販売する「AC Bidders」が実施された。
なお、来年のAutomobile Council 2019は4月に開催されると発表されている。
上の2点はAutomobile Council 2018のガイドマップと会場風景。
上の2点は、初日にワクイミュージアムから発表されたベントレー・ラ・サルト(La Sarthe)。1950年代のベントレーがリアルスポーツカーを創っていたならば、このようなクルマになったのではないだろうかと、当時のベントレー社に成り代わって現代によみがえらせようというユニークなアイデアで誕生したモデル。2シーターのファストバッククーペで、デザインは1950年代前半に207台生産されたRタイプ・コンチネンタルにインスパイアされている。名前はル・マン24時間レースの舞台となるサーキットにちなんでつけられ、着想と製作は英国のクラシックカースペシャリストBensport Ltd.で、製作台数は24台。
上の4点はベントレー・ラ・サルトのカタログの一部。シャシーは1950年代前半に2320台ほど生産されたベントレー Rタイプのシャシーをベースにリビルトし、専用スポーツサスペンションを装備。エンジンはRタイプ用直列6気筒Fヘッド4.5ℓを、最終期モデルと同じ4.9ℓにアップグレード。あるいは4.9ℓにさらにチューンを加えたもの。トランスミッションはRタイプ純正の4速MTあるいは4速ATのフルリビルド品を積む。オプションで電動パワーステアリングも装着可能。ボディーは総アルミ製。オプションで特注フロントグリル、前後バンパー、リアフェンダーのスパッツなども装備可能。ラジエーターは専用設計のアルミ製、発電機はオリジナルのダイナモからオルタネーターに換装。ワイアハーネスはすべて新造し、フューズやリレーは現代のものに換装。メーターはベントレー純正を電気式に改造されている。
アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ。アストンマーティンが誇る孤高のスーパーGTであり、カーボンファイバー・ボディーパネルをまとい、エンジンは5.2ℓ V12ツインターボ725ps/900Nmを積み、0~100km/h加速はわずか3.4秒、最高速度約340km/h。価格は約3430万円。
主催者によって特別招待された新旧アルピーヌA110。初代A110生産終了から40年ぶりに蘇った新型アルピーヌA110は、今年6月に限定車プルミエール・エディションが50台限定で日本に導入された。1798cc直列4気筒DOHCターボ252ps/320Nmエンジン+ゲトラグ製電子制御湿式7速ATを積む。価格は790万円。
レストア途中の状態で展示されていた1957年メルセデス・ベンツ300SL。チューブラーフレームの構造を観察する絶好のチャンスだ。300SLは筆者に加速時にGを実感させてくれた最初のクルマであった。税別2億円のプライスタグが付いており、消費税だけでも1600万円必要!
ずらりと並んだロータス。手前から1966年ロータス・コルチナMk1 Sr2、700万円。1963年ロータス23B、2000万円。1957年ロータス11、1650万円。1960年ロータス7 Sr1、680万円。価格はいずれも税別。
実にのびのびとしたプロポーションを見せる1962年ランチア フラミニアGTツーリング3C。2458cc V型6気筒OHVウェーバー3連装エンジン+4速MTを積み、最高速度191km/h。生産台数はわずか628台。価格は税込み1800万円。
「LE GARAGE」の店先でお客を出迎える1948年プジョー202。ヘッドランプをフロントグリルの後ろに隠した個性的な顔立ちは印象に残る。202の1133cc直列4気筒OHV 30psエンジンは、1952年に発売されたプリンスセダンとトラックに積まれたエンジンのお手本であった。
今年もペニンシュラ東京はすばらしい1934年ロールス・ロイス・ファントムⅡ バーカー製セダンカ・ド・ヴィルを展示した。ホテルで結婚式を挙げた幸せなカップルを乗せて走る果報者だ。
トヨタ博物館は1966年2000GT スピードトライアル車(レプリカ)、1962年パブリカ スポーツ(レプリカ)、1969年トヨタ7、1964年コロナRT40型を出展した。プレゼンテーションするのは布垣直昭館長。
上の2点は、2000GT スピードトライアル車(レプリカ)と1966年10月に東京・晴海で開催された第13回東京モーターショーに展示されたオリジナル車。プロトタイプ1号車に必要な改造を施して挑戦した。ドアにはスピードトライアルに挑戦したドライバー、細田四方洋、田村三夫、福澤幸雄、津々見友彦、鮒子田寛の名前が書かれている。
上の2点はマツダのブースで、テーマは「MAZDA COMPACT HATCHBACK STORY」で、5代目ファミリア、323 4WD ラリーカー、ランティス、初代アクセラスポーツに加えて、下段写真の昨年公開された魁(カイ)コンセプトが出展された。
本田技研工業は「レジェンドヒストリー」と二輪車の「ゴールドウイングヒストリー」をテーマに、レジェンドの初代、2代目、4代目、5代目と、ゴールドウイングGL1300およびGL1800を展示した。
SUBARUは「SUBARU SUV STORY~量産初の乗用AWDをつくった、SUBARU SUVの進化の系譜」をテーマに初代フォレスター、レガシィグランドワゴン、新型フォレスターおよび上段写真のレオーネ4WDエステートバンが展示された。下段の写真は東北電力の提案を受けて、宮城スバルがブルーバードのデフとドライブシャフトを流用して、およそ10カ月かけて試作した4WD車。このクルマが富士重工業に提案され、レオーネ4WDエステートバンの誕生に発展した。
日産は、同社の海外モータースポーツ活動60年を記念し、今回の出展テーマを「60 years of performance」として、2018年のジュネーブモーターショーで公開したNISSAN Formula E カラーリングコンセプトを中心に、ヘリティッジカー3台、1958年 ダットサン1000セダン「富士号」、1972年 スカイライン2000GT-R、1987年 ニッサンMID4 II型(コンセプトカー)を出展した。フォーミュラEへの参戦は今年12月を予定している。
1987年10月に東京・晴海で開催された第27回東京モーターショーに出展されたMID4 II型。研究開発の成果をモーターショーの場で発表することも目的とした実験車両で、市販には至らなかったが、その技術の多くは、1989年に発売された4代目フェアレディ300ZX(Z32型)やスカイラインGT-R(R32型)などに生かされている。
上の3点は第27回東京モーターショーで配布された資料に載ったMID4 II型。VG30DETT I/C型 2960ccV型6気筒DOHCインタークーラー付きツインターボ330ps/39.0kgmエンジン+ツインディスククラッチ+5速MTを積む。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式、リアは操舵機構「HICAS(ハイキャス)」付きのマルチリンク式で、トルクチューブによって前後のパワートレイン系を一つの剛体としている。
第27回東京モーターショーに展示された個体は赤色だった。
1985年10月、東京・晴海で開催された第26回東京モーターショーに出展された初代MID4。2960ccV型6気筒DOHC 230ps/28.5kgmエンジンを積む。これはベルギー市場向けに発行されたカタログで、下に載せたドイツ向け、英国向けとは外観の細部が異なる。
上の2点はドイツ市場向けに発行されたMID4のカタログ。
上の2点は英国市場向けに発行されたMID4のカタログ。
上の4点は回を重ねるごとに充実し賑わいを見せるマルシェ。今回はヨーロッパのヘリティッジカーイベントでは名物となっているフランスのポスターショップ「Atelier Affiches Anclennes」が初出店した。
今回、新たなプログラムとして加わった「Automobile Council 2018 Car of The Year by J-WAVE」(通称J-WAVE AWARD)の栄冠を獲得したのは、1968年シトロエンID19ファミリアーレであった。