新シリーズを始めるに当たって提案されたテーマは「A to Z」はどうでしょうかという事だった。「A to Z」と聞くと思い出すことが僕には2つある。1つは昭和28年4月発行の「A to Z in Love」と言うタイトルの、日劇ミュージックホールのプログラムで、19歳の僕が恐る恐る入った最初の時の物だ。言い訳ではないがここはトップクラスのヌードもさる事ながら、一流のエンタテイナーを手軽に見られるのが魅力で、その目指す方向はプロデューサー長尾長顕によるところが大きい。裸がメインではなくショウに裸もついていると言う雰囲気で大人になってからもしばしば足を運んだ。因みにこの時は「トニー谷」が出演していた。
(写真1)昭和28年4月初演のプログラム
2つ目は1989年4月15日から始まったラジオ日本の深夜放送「ジャズ楽曲辞典」という番組で、ジャズ評論家「いソノ てルヲ」氏の担当でジャズのスタンダード曲をアルファべット順に「A」から「Z」を目指した。その後投書を通じて磯野さんと親しくして頂き、常連のリスナーとして「データバンク頭取」なるニックネームを頂戴するに至ったが、この番組は丁度8年後の1997年4月、第412回の「M」項半ばで遂に幕を閉じてしまった。
(写真2)400時間を超えるMDテープの一部
実はこの経験が僕の頭の隅には引っ掛かっており、「凝り性な僕の性格」「持っているデータ量」そして「79才という僕の年齢」から、どう考えても「Z」までは無理だろうと思うのだが、無責任にも引き受けてしまった。しかし「エンサイクロペディア」を目指すからには、手抜きはしたくないし、なんとか「Z」にたどり着きたいし、そこで「車名」は「よく知られた物」「珍しい物」に限り、「モデル名」は極力集約し「同一モデル基本1枚」と決めて、取り敢えず始めることにしよう。「A」項の車名は2輪車も含めて74あり、対象として選んだのが35、なかでも車種の多い大物は「Abarth」「Alfa Romeo」「Aston Martin」「Austin」等々。今年中に「A」項が終了できるかな?
(1)<Abarth>アバルト(伊)
アバルトはチシタリア社を辞めたカルロ・アバルトが1949年に設立した会社で、部品製造から始まりエンジン・チューナーを経て自社ブランドを創るまでに至った。製品のマフラーは「アバルトのマルミッタ」とよばれ、人気商品だった。シンボルマークは自分の星座から採った「サソリ」で、アバルト・マニアが増殖した事から世界中にサソリの毒をばらまいた張本人といわれた。
(写真3)1959 Aberth-Cisitalia 204A Spyder (1999年ペブルビーチ/カリフォルニア)
(写真4)1950 Abarth 205A Berlinetta Vignale(2004年コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
(写真5)1953 Abarth GT Ghia Coupe(1998年コンコルソイタリアーナ/カリフォルニア)
初期のショウカーでオリジナルはグリルの中央に半球型のスピナーがある
(写真6)1954 Abarth Alfa Romeo 1900 GSS Ghia Coupe トリノ・ショー出展車
(1998年ペブルビーチ/カリフォルニア)
(写真7)1955 Fiat Abarth 207 Spyder Corsa Boano (2004年グッドウッド/イギリス)
(TCシリーズ)
(写真8) 1956-59 Fiat Abarth 750 TC Berline(1997年ラフェスタ・ミッレミリア/表参道)
(写真9)1962-64 Fiat Abarth 850TC Berlinetta (2001年モンツァ・サーキット/イタリア)
(写真10・11)1965 Fiat Abarth 1000TC Berlinetta (2003年レトロモビル/パリ)
フィアット600ベースのオリジナルボディーを持つTCシリーズの中では最も過激な顔を持つモデル。
<750GT ザガート・シリーズ>
(写真12)1958 Fiat Abarth 750 GT Coupe Zagato(1999年 コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
(写真13) 1960 Fiat Abarth 750 GT Spyder Zagato(1999年 コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
<850 アレマーノ・シリーズ>
(写真14)1962 Fiat Abarth 850 Coupe Allemano sr.2 Scorpion (1981年 TACSミーティング/神宮絵画館)
<695シリーズ>(Fiat500ベース)
(写真15)1969 Fiat Abarth 695 SS (1986 モンテ・ミリア/神戸)
見た目オリジナルと変わらないおとなしいタイプ。
(写真16)1966-67 Fiat Abarth 695SS (2001年 モンツァ・サーキット/イタリア)
エンジン・カバーが閉まらない、かなり過激なタイプ。
<大型アレマーノ・シリーズ>
(写真17) 1962 Fiat Abarth 1600 Allemano Spider (1962年 外車ショー・東京千駄ヶ谷)
山田輪盛館によって日本に最初に輸入されたアバルトで、ベースはオスカー・チューンのエンジンを持つフィアット1500スパイダー。
(写真18) 1959 Fiat Abarth 2300 GT Allemano Coupe (2004年 コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
<アバルトが手がけた唯一のポルシェ>
(写真19) 1960 Porsche 356B Carrera Abarth 1600 GTL(1998年 ラグナ・セカ/カリフォルニア)
<レコルト・モンザ・シリーズ>
(写真20) 1958 Fiat Abarth 700 Record Monza Zagato(1986年 モンテ・ミリア/神戸)
(写真21)1959 Fiat Abarth 750 Record Monza Zagato (2008年 ラフェスタ・ミッレミリア/明治神宮・原宿)
<1000シリーズ>
(写真22・23) 1960 Fiat Abarth 1000 Corsa sr.2(1989年モンテミリア/神戸)
(写真24) 1963 Fiat Abarth 1000 Biarbero GT(1969年東京レーシングカー・ショー/晴海)
<アバルト-シムカ・シリーズ)
(写真26) 1963 Abarth Simca 1300 GT(1988年TACSミーティング/明治公園)
(写真27)1963 Abarth Simca 1300 GT Corsa Long(1966年第3回日本GP/富士スピードウエイ)
<モノミーレ・シリーズ>
(写真28)1964 Fiat Monomille 1000 (1963年第5回東京オートショー/晴海)
<OTシリーズ>
(写真29)1964 Fiat Abarth OT 1000 Berlina (1981年SCCJミーティング/筑波サーキット)
(写真30・31)1966-69 Fiat Abarth OTS 1000 Coupe (1998年コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
(写真32)1967 Fiat Abarth OT 1300 Coupe 1987年 モンテミリア/神戸)
(写真33)1965 Fiat Abarth OT 1000 Spyder(Hardtop)Bertone(1966年東京タワー付近/港区)
<レーシングカー>
(写真35)1967 Fiat Abarth 1300 SP(1994年 京都ホテルにて)
(写真36)1968 Fiat Abarth 1000 SP (1994年 京都ホテルにて)
(写真37) 1970 Fiat Abarth 2000 MC(SE 019) (2010年グッドウッド/イギリス)
(写真38) 詳細不明 フォミュラーカー・タイプ(1998年コンコルソ・イタリアーナ/カリフォルニア)
(ラリー・カー)
(写真39)1972-75 Fiat-Abarth 124 Spyder (1997年フータ峠/イタリア)
第1回として「アバルト」だけでここまでで39枚の写真を上稿した。予定では「Ah」まで用意したがあまりにも多いのでここで打ち切りとする。 嗚呼!やっぱリ前途多難。