三樹書房
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60s
第4回 ハウ・ツウ・ファイリング
2012.2.27


― 資料はいくら沢山持っていても取り出せなければ何の役にも立たない ―

1 僕の手元にある映像資料は大別すると次の3種類に分かれる。
 ①「モノクロ・ネガフィルム(326本)」と「そのデジタル・データ」(13,316コマ)
 ②「カラー・ネガ/ポジ・フィルム(645本)」と「そのデジタル・データ」(22,455コマ)
 ③「デジタルカメラによる撮影データ」(28,908コマ/2011年末現在)
  以上は自動車関連のみで「風景」「家族/人物」「ライブハウス/ジャズメン」ETCは別管理。


IMG_0004.JPG


2 コマ番号の振り方(過去の歴史的背景があって、残念ながら統一されていない)
 ①「モノクロ・ネガ」の時代は、現像済のフィルムを6コマづつ切ってネガカバー」に入れて保管していたが、年間に撮影する量があまり多くなかった事もあり年次別に採番する事まで考えず、「001」から「326」まで通し番号が振られ、それにコマ番号が付属している。   
[記入例 001-36](初期段階では無番号のままで、実際に採番したのはかなり撮り溜めてから処理したので番号が必ずしも撮影日順でない物もあり、整理上の失敗例)
 ②「カラー・フィルム」を実際に使い始めたのは1976年からで初期はモノクロと併用だった。
 こちらは西暦の末尾2桁を最初に置き、次にその年の撮影順に2桁の番号、最後にコマ番号の3段方式としたので、コマ番号から撮影年次まで読み取る事が出来る。[記入例 94-38-24](西暦末尾2桁方式は、デジタルで管理する場合「99」より「01」の方が前に並んでしまうので、必要に応じて( )などを使って優先順位を調整する必要がある。)
 ③「デジタルカメラ」の撮影データは、フィルムが存在しないから「1本づつ保管する」という制約に縛られない。と言うことは何処で区切っても問題ない。ここで初めて「日付順」の採番が可能となり[年―月―日_通し番号]となった。(通し番号はその日の撮影枚数によって2桁と3桁がある。)撮影時、同じ車はなるべく続けて撮るようにしているが飛び飛びになってしまった場合は採番前に並び替えて置き、カメラに付いていたキャノンの付属ソフト「Zoom Brouser EX」→「ファイル名を一括して変更する」を使って日付け毎に「001」から採番している。

3 アナログ時代の管理方法
 ①「モノクロ・フィルム」は6コマづつの「ベタ焼き」がA4サイズのスクラップ・ブックに1ページ1本づつ貼ってあり、その下に4桁のコマ番号が入っている。(スクラップ・ブックは50年も経っているので台紙が脆くなっており、現在は透明ファイルで保管)イベント単位で探す場合は日付で検索、車名が決まっておらず何か面白いものを、と言う場合も利用できる。


無題-スキャンされた画像-01.jpg

 一方、プリントの方は「ヨーロッパ車(34冊)」「アメリカ車(21冊)」「東欧・その他珍車(1冊)」は、それぞれが車名別・アルファベット順に、「国産車(5冊)」はメーカー別にクリアー・ファイルに保管されているので、「車名」から目的の画像が探し出せ、その下にある「コマ番号」から容易にフィルム(又はデジタル・データ)が抽出できる。

Austin Healey Sprite.jpg

Jaguar MkⅤ.jpg

Mercedes Benz 220 CabrioletB.jpg

 ②「カラー・フィルム」も基本的には「モノクロ・フィルム」と同じで、台紙がスクラップ・ブックより上質な「コクヨ」のフォトアルバムに変わった。

IMG_0001.JPG

 カラー・プリントの仕訳については「フェラーリ」「ブガッティ」「アルファ・ロメオ」「アストン・マーチン」はほぼ完璧に貼り込んであるが、それ以外は「未整理」がかなり残っている。デジタルに切り替わったこと、作業する時間が取れないこと、アルバムの置き場所がないこと、などなど色々な理由はあるが、最大の原因は海外で沢山撮り過ぎることだ。

IMG_0002.JPG

IMG_0005.JPG

4デジタル時代の管理方法
 フィルム・ベースの物は全部「キャノスキャナー9900F」を使って最高の解像度「3200dpi」でデジタル化しパソコンに取り込んだ。3台の外付けハードディスクの内1台を「自動車専用」に割り当てている。

IMG_0008.JPG


その内容は
 ①「自動車モノクロフィルム」(全) 検索例 [235-06] 
  「大区分」フィルム50本単位 [201-250]
  「中区分」フィルム1本単位  [235]
  「小区分」フィルム1コマ単位 [06]
 ②「自動車カラーフィルム」(全)
  [大区分]1960年代から10年単位
  [中区分]10年の中で1年単位
  [小区分]1年の中でイベント単位
  (デジタル化されているので1本のフィルムが異なるイベントに跨がる場合でも区分けは可能)
 ③「自動車デジタルカメラ」(全)
  スタートは2000年からで区分方法は「カラーフィルム」と同じ。

5 デジタルでしか出来ない究極の一元管理 <総リスト>
 デジタルの最も得意とする「コピー機能」を使ってオリジナルは撮影順に保存し、別途に「総リスト」の項目を設定した。これは手に入る限りの自動車関連の「メーカー名/車名」を予め登録し、順次これを埋めて行こうという作戦だ。基本的にはAからZまでアルファベット順に車名で管理するのだが、一寸慾を出して、用途別(例えば消防車とかキャンピングカーとか速度記録車とか)の項目も作ってみた。車名リストが出来ていると、仕分け時に作業がスムースに進むので具合がいい。全容はとても紹介しきれないが「A項」を数えてみたら45社あった。その中で名前の知られた物を列記すると「アバルト」「AC」「アドラー」「愛知機械(コニー)」「アカディアン」「アルファ・ロメオ」「アラード」「アルパイン」「アルヴィス」「AMC」「アミルカー」「アンフィカー」「アポロ」「アームストロング・シドレー」「アーノルト」「ASA」「アストン・マーチン」「オーバーン」「アウディ」「オースチン」「アウトアビオ」「アウトビアンキ」「アウトウニオン」「アヴァンティ」などがあげられる。

(99-10-16) 1937 Auto Union TipeC Streamliner.jpg
(99-10-01) 1936 Auto Union TypeC GP.jpg


 「F項」の「フォード」では(英・フォード)(独・フォード)(仏・フォード)がある。本家(米・フォード)は「大区分」で「サンダーバード」「マスタング/シェルビー」「ファルコン」「トラック/ピック  アップ」「試作車/ショーモデル」「参考文献」と分け、「中区分」としてT型以前モデルA~S(1903-08)、モデルT(1908-27)、モデルA(1927-31)、モデルB(1932)、1930年代(33-9)、40年代(41-49)、50年代(51-59)、60年代(61-69)と延々と続き、「小区分」は1年毎に細分化される。これは毎年モデルチェンジするアメリカ車の典型的なパターンで殆どのアメリカ車に適用している。

(095-45) 1950 Ford Custom 4dr Sedan.jpg
10-07-03_0295 1959 Ford Galaxie Skyline Retractable.JPG


 同じ「F項」の「フェラーリ」はモデルの種類が多い代表だ。「大分類」だけでも48項目ある。その中から代表的な2つを選んで列記すると「166」シリーズでは、「166 スパイダーコルサ」「166Sスポルト」「166 MMバルケッタ/ベルリネッタ」「166 LM」「166 インター」「166/212 ウオーヴォ」「166/250 MM」「166 F2/FL」、「250」シリーズでは「250MM」「250TR」「250 ヨーロッパ」「250GT」「250GT ヨーロッパⅡ」「250GT ザガート」「250GTボアノ/エレナ」「250GT TdF」「250GT SWB」「250GT カブリオレ」「250GT スパイダー・カリフォルニア」「250GT PFクーペ」「250GTE 2+2」「250GT ルッソ」「250 GTO」と続いた。

(95-27-01) 1950 Ferrari 166MM Touring Barchetta.jpg

(04-55-08) 1963 Ferrari 25 GTO(ラグナ・セカ).jpg


 「フォード」と「フェラーリ」で代表されるように殆どが年式で区分するか、モデル名で区分するかが分類の基本となるが、種類の少ないものや滅多にお目にかかれないようなものは敢えて区分はせずにそのままぶっ込むほうが後々探し易い。
 実はこの作業は現在も進行中でモノクロフィルムは先ごろやっと終了して今カラーフィルムがあと8,800コマ、デジタルカメラ分が約9,000コマが処理を待っている。4月で78才になる僕は残された時間を考えると毎日10時間以上パソコンに向かってしまう今日此頃である。
 
 来月は「画像修正もまた楽し」というテーマで劣化した画像を蘇らせる楽しさをお伝えしたい。


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執筆者プロフィール

1934年(昭和9年)静岡生まれ。1953年県立静岡高等学校卒業後、金融機関に勤務。中学2年生の時に写真に興味を持ち、自動車の写真を撮り始めて以来独学で研究を重ね、1952年ライカタイプの「キヤノンⅢ型」を手始めに、「コンタックスⅡa」、「アサヒペンタックスAP型」など機種は変わっても一眼レフを愛用し、自動車ひとすじに50年あまり撮影しつづけている。撮影技術だけでなく機材や暗室処理にも関心を持ち、1953年(昭和28年)1月には戦後初の国産カラーフィルム「さくら天然色フィルム」(リバーサル)による作品を残している。著書に約1万3000余コマのモノクロフィルムからまとめた『60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ編】』『同【アメリカ車編】』『同【日本車・珍車編】』『浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録』(いずれも三樹書房)がある。

関連書籍
浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録
60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ車編】
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