シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡
■定価 本体3,600円+税
■ISBN978-4-89522-781-0
■2022年10月発売
フラミニオ・ベルトーニがデザインしたクルマは独創的で、自動車ファンを始め、多くのクリエーターや知識人など世界中に熱狂的なファンが存在し、高く評価されている。美術家でもあったベルトーニは彫刻の技術を自動車デザインに生かし、DSにおいては美術界からも絶賛された。本書では、イタリア在住のジャーナリストが、当時を知る人々に取材を重ねるとともにベルトーニが残した貴重なデザインスケッチや写真の他、美術作品も多数収録して、自動車デザインと美術作品の双方を見ながら、互いの影響を解き明かしていく力作。
ベルトーニの卓越した判断力と造形力は、多くのデザイナー達への素晴らしい遺産
トヨタ自動車元デザイン部部長/自動車技術会デザイン部門委員会委員/
名古屋工業大学院非常勤講師/木村デザイン研究所CDO
木村 徹
「自動車デザイナーとは」という解を求め続けたベルトーニの生涯
富士重工業(現SUBARU)元デザイン部長/東京都立大学システム
デザイン学部インダストリアルデザイン学科特任教授/デザイナー
難波 治
序
第1章 美術家およびデザイナーとしての出発
(1)美術:3人の具象彫刻家に師事
(2)美術:「魚」と「白鳥」をモティーフに
(3)デザイン:パリ研修と時代背景
(4)デザインと美術:故郷への失望と逃避行
(5)デザイン:約束の地、再び
(6)美術:同時代のパリと芸術家たち
(7)美術:ロダンへの傾倒
(8)美術:自動車を題材とすることの否定
(9)デザイン:スケッチの省略
(10)デザイン:ベルトーニと石膏
(11)デザイン:ル・コルビュジエ作品との連関
(12)美術:ファシズム、第二次世界大戦、そして作品
(13)デザイン:三輪コミューター《マティスVL333》
(14)デザイン:ワンボックス商用車《TUB》
(15)デザイン:TPV計画
(16)デザイン:『TPV』から《シトロエン2CV》へ
第2章 代表作《シトロエンDS》と美術
(1)デザイン:透視図法
(2)美術とデザイン:その女性遍歴
(3)美術とデザイン:モティーフとしての女性
(4)美術:《浜辺に横たわる裸婦》と深海魚
(5)デザイン:ベルトーニ式フラッシュサイドの起源
(6)デザイン:《シトロエンDS》と広告表現
(7)デザイン:1955年パリ自動車ショー
(8)デザインと美術:《シトロエンDS》の評価
(9)デザイン:G.ポンティ、およびR.ローウィ作品との比較
(10)デザイン:プロトタイプ『C10』
(11)デザインと美術:ベルトーニのハイライト・レンダリング
(12)デザインと美術:ピエトロ・マンゾーニとの関連
(13)デザインと美術:ベルトーニと色彩
第3章 抽象彫刻への転換と“いびつなデザイン”
(1)デザイン:《シトロエンDS》のダッシュボード考察
(2)美術とデザイン:抽象彫刻とテールランプ・ユニット
(3)美術:具象から抽象への変化と背景
(4)美術:ブランクーシ作品との近似性
(5)美術:セルフ・ポートレイトの意味
(6)デザイン:故郷でも評価されない苦悩
(7)デザイン:《シトロエン・アミ6》のCピラー形状
(8)デザイン:《シトロエン・アミ6》にみるバロック的なもの
(9)デザイン:《シトロエン・アミ6》に浮かぶ消失点
(10)デザイン:フレンチネスの欠如
(11)デザイン:『パナール24』のアイディア
(12)デザイン:S計画と、そのバリエーション
(13)デザイン:C60計画
(14)デザイン:「自動車の質」メモ
(15)デザイン:ロベール・オプロンに訊く
(16)美術:ベルトーニと戦後の休暇旅行
(17)デザイン:ベルトーニの建築
(18)デザイン:ダ・ヴィンチを志していたか
(19)美術とデザイン:両者が融合した瞬間
第4章 今日におけるベルトーニの価値
(1)ベルトーニが高めたデザイナーの地位
(2)後世に残るデザイン・アイデンティティの確立
(3)ものづくりに携わる者への貴重な指標として
あとがき 子息レオナルドとの出会いから
フラミニオ・ベルトーニ年譜
参考文献