書籍情報

ミニの誕生から終焉

名設計者アレック・イシゴニスを中心として

ジリアン・バーズリー 著/小島薫 編著・翻訳
■定価 本体2,800円+税
■ISBN978-4-89522-720-9
■2019年11月発売
誕生から60周年を迎え、今もなお世界中で愛され続ける名車「ミニ」。設計者イシゴニスの人生とエンジニアとしての歩みを詳細に描きつつ、「ミニ」の誕生と発展、さらには後継モデルの構想など、資料として遺されていた手描き資料やスケッチを検証し、関係者・知人への取材を重ねて新たな事実を解き明かす。 著者は英国自動車業界の歴史遺産を保存・管理する「ブリティッシュ・モーター・インダストリー・ヘリテッジ・トラスト(BMIHT)」に長年在籍してきた自動車考証家。本書は、著者のこれまでの考証内容を、編著者が日本の読者により分かりやすく理解できるように構成・追記を施して翻訳したもの。
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目 次

日本の読者の皆さまへ ジリアン・バーズリー
はじめに ―アレック・イシゴニスを探して― ジリアン・バーズリー
おもな登場人物

第1章 「ミニ」までの道のり

1 アレック・イシゴニス、トルコに誕生
  トルコに生まれた「ミニ」の生みの親/イシゴニスの運命を変えたオスマン帝国の崩壊
2 イギリスでの生活
  新生活の基礎固め/最初のクルマでヨーロッパ旅行/学校でエンジニアリングを学ぶ/
  趣味のモータースポーツ/サイクルカーで学ぶ
3 自動車業界へ
  ジレット社に就職/再び趣味のモータースポーツ/オースティン・セブンで実験/
  コベントリーのハンバー社へ
4 自作のレーシングカー「ライトウェイト・スペシャル」
  コベントリー近郊に引っ越す/ジョージ・ダウスンとの出会い/新たなプロジェクト/
  ドイツGP(1935 年)をニュルブルクリンクで観戦/ライトウェイト・スペシャルの完成
5 業界大手のモーリスへ
  モーリス・モーターズ/ジャック・ダニエルズとの出会い/モーリスでの戦前の仕事とスケッチブック/
  オースティンとモーリス/モーリス副会長の密かな計画
6 戦時の極秘計画” モスキート”
  第二次世界大戦中に始まった開発/少人数チームの結成/イシゴニス・チームの仕事の進め方/
  イシゴニス本人がテストドライブ/”モスキート”とはどんなクルマか/モーリス創業者の猛反対
7 デビュー作「モーリス・マイナー」の誕生
  戦後初のロンドン・モーターショーで発表/輸出優先時代のモーリス・マイナー/
  前輪駆動のモーリス・マイナーを試作/アレックス・モールトンとの出会い/
  オースティンとモーリスの合併/イシゴニス、アルヴィスへ転職/
  BMC 誕生後のモーリス・マイナー/デビュー作が100 万台突破
8 まぼろしの新型車” アルヴィスTA350″
  イシゴニス、アルヴィスへ/新たなチームづくり/TA350 の基本構造/TA350 の開発/
  プロジェクトの中止/イシゴニス、BMC のロングブリッジへ

第2章 「ミニ」の誕生

1 「ミニ」(ADO15)誕生の背景
  BMC のラインナップ/新チームの結成/イシゴニスのチーム運営/ピニンファリーナ親子との出会い/
  石油危機により、小型車が最優先に/ BMC 復帰後のスケッチブック
2 革新的な小型車構想
  小型車革命を起こした新レイアウト/アイディアを現実の設計へ/新レイアウトの発想の源は何か
3 ”XC9003″ の実験
  ロングブリッジの実験施設/イシゴニスが最初にテストドライブ/レオナード・ロードの役割/
  ポメロイにも小型車設計案を依頼
4 ”ADO15″ のテスト
  ”XC9003″ から”ADO15″ へ/試作車の集中テスト/量産試作車の海外テスト
5 ”ADO15″ の生産準備
  イシゴニスのメモと『ミニ・ストーリー』の相違点/生産ラインの準備/初期生産の不具合
6 「ミニ」のデビュー
  発表前の不安/「オースティン・セブン」と「モーリス・ミニマイナー」/
  自動車メディア向けの発表試乗会/ロングブリッジでの発表会/出足が遅かった初期の販売/
  発表直後の課題/自動車誌の1962 年の読者調査

Column 1 ミニの「衝突テスト」を実施したスターリング・モス

第3章 新時代のクルマ「ミニ」

1 ” 時代の象徴” の誕生
  出足が鈍かった販売/イシゴニスの友人が王女と結婚/ファンがもたらした新たな名前/
  1960 年代のイギリスでアイデンティティを確立/ラグジュアリーなミニ
2 「ミニ・クーパー」(ADO50)の誕生
  ミニに備わっていた資質/ダウントンのミニ/ジョン・クーパー/ミニ・クーパー誕生
3 「ミニ・クーパー」とモータースポーツ
  ミニ・クーパーの戦略/イシゴニスもクーパーの活動に協力/クーパーSの登場で躍進/
  ダウントン・エンジニアリングの貢献/オーラを持ち始めたミニ

Column 2 イシゴニスの友人、エンツォ・フェラーリ

第4章 時代を築いた「ミニ」

1 マーケットに浸透する「ミニ」と派生モデル
  「ミニ」誕生後のイシゴニスとチーム/派生モデルの誕生
2 ミニの兄たち~「1100」(ADO16)と「1800」(ADO17)~
  「1100」(ADO16)/ハイドロラスティックの初導入/
  ピニンファリーナとのコラボレーション/イギリスでベストセラーのファミリーカー/
  「1800」(ADO17)/限度を超えた” ミニマリズム”
3 進化する「ミニ」~改良とMk II(1967 年)~
  改良とMk II(1967 年)/イシゴニスのこだわり
4 「ミニ・モーク」、およびスペシャルなミニ
  「ミニ・モーク」/「オースティン・アント」(ADO19)/ 2 シーターモデル(ADO34)/
  スペシャルなミニ
5 映画『ミニミニ大作戦』とイギリス自動車業界の再編
  映画と合併/イシゴニス、技術統括責任者を退く/「マキシ」(ADO14)はどんなクルマか/
  イシゴニス・チームのその後/ミニの生産台数は200 万台に/イシゴニス、ナイトの爵位を授かる
6 Mk III(ADO20)と「ミニ・クラブマン」
  Mk III(ADO20)/ハイドロラスティックに消極的だったイシゴニス/
  ミニ・クラブマン(ADO20)/イシゴニスはMk III をどう見ていたか/
  生産工場の一本化と” ミニ” ブランドの誕生
7 低迷期の1970 年代、そしてライバルの台頭
  「ミニ・クーパー」の終了/ ADO70(” カリプソ” プロジェクト)/再び石油危機/
  イノチェンティのミニ/ブリティッシュ・レイランドの国有化と” スーパーミニ” の登場

Column 3 サスペンションの大家、アレックス・モールトン
Column 4 ミニの価格は安すぎたのか~ BMC の価格戦略~

第5章 異例の長寿モデル「ミニ」

1 後継モデルの議論
  後継モデルの基本概念/ ” ミニミニ” プロジェクト(XC8368)/ ” ミニミニ” から”9X” へ/
  安い価格で、高い利益を生む後継モデルを提案/もし、”9X” を1971 年に実現できていたら/
  ミニの20 周年と「メトロ」の発表/その後のイシゴニス
2 1980 年代と1990 年代の「ミニ」
  生産台数500 万台に到達/社名変更と民営化/ 5年おきに開催された記念イベント/
  「ミニ・クーパー」の復活/「ミニ・コード」/BMW のローバーグループ買収
3 愛され続ける「ミニ」
  BMWの撤退/「ミニ」の生産終了/愛され続ける「ミニ」

第6章 定年後のイシゴニス

1 コンサルタント契約と新たな生活
  定年退職後も9Xに取り組む/耳の病と母の死/正真正銘の変わり者/耳の手術を決断
2 ” ギヤレスカー” のプロジェクト
  もうひとつのプロジェクト/ギヤレスカー、実現の兆し
3 在宅ワーク
  体調の悪化/マーク・スノードンとロッド・ブル/「ミニ」の改良に貢献/禁煙と禁酒
4 新型エンジン対決
  待望の新型エンジン/ 9Xエンジンの特徴/ 9X 対K シリーズ
5 エンジニア人生を全うして
  伝記の素材集め/永遠の遺産

ブリティッシュ・レイランド誕生までの変遷:1895-1968
ブリティッシュ・レイランド誕生後の変遷:1968-2000
あとがき 小島 薫

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