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2025年3月10日

■2025年1月30日(木)新宿の「ベルサール新宿セントラルパーク イベントホール会場」において催された、新型「ジムニー ノマド」の発表会に参加しました。ジムニー誕生から55周年、ノマドの名称が付けられた「エスクード ノマド」が1990年に発売されてから35年を迎える2025年にデビューを果たした今回の新型車には、驚くほど多くの報道陣が集まっていました。2018年にデビューした「ジムニー シエラ」の予想以上の販売実績に加えて、5ドアモデル登場の期待の高まる中での発表会ということもあり、さらに注目が集まったのでしょう。発表後は多くの雑誌や媒体などで新型車に関して詳しく紹介されているので、ここでは少し別の視点で今回の「ジムニー ノマド」発表会をレポートしたいと思います。

■ジムニー(小型四輪駆動車)の軌跡を簡単にたどってみます。
1977年水冷4サイクル・4気筒・800㏄クラスのエンジンを搭載した
「ジムニー8」発売
1982年水冷4サイクル・4気筒・1000㏄クラスのエンジンを搭載した
「ジムニー1000」発売
1984年水冷4サイクル・4気筒・1300㏄クラスのエンジンを搭載した
「ジムニー1300」シリーズ発売
1993年水冷4サイクル・4気筒・1300㏄クラスの新エンジンを搭載し、ATモデルも追加した
「ジムニー1300 シエラ」発売
1995年サスペンションをコイルスプリング化し、エンジンを16バルブ化した
「ジムニー1300 シエラ」発売
1998年軽自動車のジムニーのモデルチェンジに先行して新型となった
「ジムニー ワイド」発売
2000年エンジンを一新し、DOHC16バルブVVTエンジンを搭載した
「ジムニー ワイド」発売
2002年一部改良とともに、「シエラ」の名前を復活させた
「ジムニー シエラ」発売
2018年新開発の1500ccクラスのエンジンを搭載してフルモデルチェンジされた
「ジムニー シエラ」発売
2025年ジムニー史上初となる5ドアモデルで、ジムニーの世界をさらに拡大させた
「ジムニー ノマド」発売

ジムニーとして初めての小型車となったジムニー8

当初800ccクラスだったエンジンは1300ccクラスに拡大され、今回は倍近い1500ccクラスまで大型化されてきたことがわかります。
2018年7月5日に現行モデルの3ドアジムニー発売(ジムニー/ジムニー シエラ)、そして2025年1月30日に5ドアの「ジムニー ノマド」が発表(発売は4月3日)となりました。
価格は5MTが265万1000円、4ATが275万円、月間目標販売台数は1200台と発表されました。
ジムニーシリーズは2025年1月までに世界累計販売台数約350万台を達成し、またスズキの四輪車として初の海外生産車でもあります(スズキホームページの沿革によると1975年にパキスタンでジムニーの組立を開始)。ジムニーの2024年の販売台数は前年比で110%を達成し、好調な販売実績となっています。今回の新型「ジムニー ノマド」はグローバルカーということで、インドですべて生産され、日本を含めてインドから101か国で展開されるそうです。

ここからは、「ジムニー ノマド」発表会での鈴木俊宏社長のコメントを中心に紹介します。
ノマドの名称の理由については、ノマドの名を付けたのは鈴木社長であり、「5ドアについてはエスクードという名も挙がったが、コンパクトSUVとして軽自動車のジムニー、3ドアのシエラ、5ドアのノマドとして3つのブランドを確立したかった。本格4WDの中でしっかりポジションを確立してほしいので、あえてノマドという名を付けた」とし、「海外は軽クラスがないから、3ドアと5ドアのみなので(ノマドの名称は)日本市場のみの考えである」と付け加えました。また、ジムニー5ドアモデルの生産拠点について、各国への輸出に有利ともなるインドを選択したのも鈴木社長だったそうです。
そして、鈴木社長は「ジムニー ノマドの登場によってジムニーの購入層拡大をねらう」と述べています。そして、価格設定については、「適正価格で買っていただくように営業部門に自ら価格設定をお願いした」そうです。
インドではすでに2023年に「ジムニー5ドア」が販売されていましたが、日本導入がこのタイミングになったことについては「すでに発売していたジムニーシリーズがバックオーダーを抱えていたことで、お客様にそれ以上のご迷惑がかかるのを避けるため5ドアモデルは導入時期を慎重に検討した」と説明していました。インド製であることについては、「インド製と日本製の品質の差はないように、日本からの技術陣が品質確認をしていて、湖西工場で厳格な最終出荷チェックをしてから出荷、販売する。スズキ品質を守るように展開している。(すでに販売している)インド製のフロンクスに関しては品質に対する苦情は今のところない」と品質管理については万全を期していることを力強く述べていました。
2025年はジムニー発表から55周年で、現行モデルである4代目は20年ぶりにフルモデルチェンジして登場しました。鈴木社長はジムニーについて、「富士山の頂上まで登れるクルマとして開発したのがジムニー。世の中が多様化し、5ドアの開発となった。スキー場・山道などでの走破性が国内外でジムニーは褒められている。鈴木修相談役(故人)も人との生活に密着したクルマづくりを追求していたので、鈴木相談役も喜んでいると思う」として、さらに、「私は、ジムニーは本格4WDということでフルモデルチェンジはひんぱんにするものではないと考えている。今のシエラは乗用車ライクで良く仕上がっている(社長本人も乗っている)が、本格的4WDはしっかりと守り、磨き上げていくことも大切。何でも機械にたよることではないクルマがあっても良いと考えている」と述べ、コンピューターにすべてを任すのではなく、人の運転技量が試されるクルマという意味を強調していたのが印象的でした。衝突被害軽減ブレーキ、トラクションコントロール、横すべり予防システム、クルーズコントロールシステムなど、コンピューター制御によるさまざまな電子デバイスの介入が増えている近年、スズキの技術陣の考え方や方向性には、クルマ好きの私たちにとってはおおいに共感できる発表会となりました。

スズキ株式会社代表取締役社長 鈴木俊宏氏とジムニー ノマド
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