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2024年8月16日

第5回 「車評オンライン Ver.Ⅱ」
※2021年度から休止した小早川隆治氏による「車評オンライン」を引き継ぎ、 “車評チーム”のメンバーによる試乗・評価に切り替えることになり、2022年より「車評オンライン Ver.Ⅱ」と名称を変更してスタートしました。

スズキ スイフトHYBRID MZ(2WD・CVT)試乗レポート
2024年6月30日から7月5日まで、2023年12月には発表された新型スイフトHYBRID モデルの試乗車を借り出して、一般道および高速道路を約200km走行してテスト行なった。(レポート:車評チーム 小林謙一)

【概要】
2004年に世界戦略車としての初代スイフトが誕生して以来、翌年にスイフトスポーツが投入され、2010年に二代目のスイフト、2011年にスポーツタイプの二代目スイフトスポーツ、2016年に三代目のスイフトがデビュー。順調に代を重ねており、国内外のスズキブランドをけん引する小型車の主力車種として「世界累計販売台数は約900万台に達した(2023年12月)」と発表されている。四代目となる今回の新型は『エネルギッシュ×軽やか「日常の移動を遊びに変える」洗練されたスマートコンパクト』をコンセプトとして開発された。ラインナップはHYBRID MZ、HYBRID MX、XGの3タイプでそれぞれ2WDと4WDを設定。ミッションはCVTであるがパドルシフト付きもあり、MXの2WDには5速マニュアルトランスミッション(5MT)も用意されている。塗装は3層コート塗装を採用し、全13色のカラーを選べる。エンジンは新開発のZ12型で、3気筒・DOHC・4バルブ・高圧縮比13.0により、最高出力は60kW(82PS)/5700rpm、最大トルクは108Nm(11kg-m)/4500rpmのスペックで高速燃焼をはかり、燃費性能を向上したという。マイルドハイブリッド採用。モーター機能付き発電機ISG+リチウムイオンバッテリーのシステムは、スズキ国内販売で5MTにも初めて搭載された。今回テスト車のスイフトHYBRID MZ(2WD・5MT)は、厳しいWLTCモード燃費で24.5km/Lを実現。

【評価手法】
■以下、試乗評価に関して説明します。以前から弊社が主体となって結成している「車評チーム」は、確認する項目を明示して、その評価を続けてきました。同時にそれぞれの項目に関しての短評を行ない、10点満点で評価として採点して、平均値を出すことでそのクルマの総合評価としています。評価する項目は以下の16に及びますが、実用燃費が計測できなかった場合は、燃費評価を無くして15項目で実施しています。
1.商品コンセプト 2.外観スタイル 3.内装デザイン 4.運転の楽しさ 5.性能&走り感 6.ステアリング/ハンドリング 7.ブレーキング 8.振動&騒音 9.乗り心地 10.室内居住性 11.前後座席12.操作機器&メーター類 13.利便性/使い勝手 14.実測燃費 15.全体の品質感 16.お買い得感
車評オンライン Ver.Ⅱでは、各項目に1から10ポイントの点数をつけて、合計点の平均値を「総合評価点」のポイントとしています。
※尚、「車評チーム」による新型車の評価手法は、マツダRX-7の開発責任者や1991年にマツダチームがルマンで優勝した時にモータースポーツ主査を務めていた小早川隆治氏が設定された車評用「評価シート」をベースに採点しています。

評価者:車評チーム 小林謙一
車種:スズキ スイフトHYBRID MZ(2WD・CVT)
寸法:全長3860mm 全幅:1695mm 全高:1500mm
車重:950kg
トランスミッション:CVT
定員:5名
タイヤ:ブリヂストン・エコピア 前後とも185/55R16 83V
タイヤ指定空気圧:前250kPa 後220kPa
テスト時の天候:主に晴れ/曇り  室内温度25℃設定
全走行距離:約200km (高速道路80%+一般道20%程度・渋滞含む)
消費燃料:6.87L(レギュラー)※156.5km走行後の給油
平均燃費:22.8km/L(22.78㎞/L)
価格(税込):216万7000円(試乗車はオプション込みで246万2130円)
メーカーオプション:全方位モニター付メモリーナビゲーション・スズキコネクト対応通信機装着車 13万3100円
ディーラーオプション:フロアマット(ジュータン)<スタウト> 1万7820円、ワイヤレス充電器 4万9830円、ETC2.0車載器 4万6640円、ドライブレコーダー(前方録画用) 4万7740円

【短評】
今では珍しくなってきた日本の道路状況に最適な5ナンバーサイズに加えて、実用的な使いやすい4ドアハッチバックのスイフト。四輪駆動タイプ(4WD)も用意されていて、寒い地域などでも運転に対する安心感は高いだろう。コンパクトクラスとしては、内外装も全体の質感は高く、全体に高得点となった。特に今回のテストでは、燃費の良さを高く評価。お買い得な経済性の高いファミリーカーとして筆頭といえる一台

1:商品コンセプト 8点
今では数少なくなった5ナンバーサイズが好ましい。1695mm幅、4m以下の全長3860mmは日常の買い物や送迎など、一般道を多用する方には運転しやすくて最適なサイズ

2:外観スタイル 8点
四代目となるスイフトは、三代目のデザインが継承されており、スイフトらしいまとまりのある、デザインの破綻もなく、男性的でも女性的でもない、中立的なデザインで全体がまとめられている

3:内装デザイン 9点
コンパクトクラスとしてはかなり思い切ったデザインを採用。ひとクラス上の印象を受けた

4:運転の楽しさ 8点
新型の1.2リッター3気筒エンジンは、エンジン音も静かで低速トルクも充分。軽い車体もコーナリング時の楽しさに寄与している

5:性能&走り感 7点
このクラスとして走りは充分。より走りを楽しむには、HYBRID MXの5MTタイプかパドルシフトが付くHYBRID MZを選択したい

6:ステアリング&ハンドリング 8点
FFらしさはほとんど感じさせない素直なハンドリング特性。操舵感覚は、過敏ではなくニュートラルであるから運転しやすい

7:ブレーキング 9点
ブレーキの立ち上がりは穏やかだが、踏み込んだ時には強力に効くスズキらしい制動特性で慣れは必要と思われる

8:振動、騒音 6点
走行中の振動は少なく、3気筒エンジンのデメリットは全く感じなかった。一般道でも静粛性は高い。ただし、高速道路の路面状況によってはタイヤ付近からのロードノイズがかなり室内に入る

9:乗り心地 8点
サスペンションはストロークがあり、乗り心地はしなやか。道路の継ぎ目からくる車体へのショックも吸収が良く、車体のボディ剛性は高い印象

10:室内居住性 8点
フロントウインドの過度な傾斜も少なく、前席は身長176センチの私には狭苦しさは感じなかった。後席の足元空間も問題ないスペースを確保。

11:座席 9点
初代から歴代のスイフトのシートサイズは大きく好ましい。肩の部分もサポートされていて、座面の広さもあり、硬さも適度でコンパクトクラスのシートとして高く評価できる

12:操作機器、メーター類 8点
操作系のスイッチ等はすべて運転席から手が届き、操作もしやすい。メーター表示もホワイトで表示されていて見やすい。唯一CDオーディオの上にある空調のスイッチ表示の文字が小さく、夜間照明のオレンジ色も見にくい

13:利便性、使い勝手 9点
ボディサイズも5ナンバー枠であり、日常に使うにはベストサイズの1台。4ドアもハッチバックも便利

14:実測燃費 10点
156.5㎞走行時に6.87L給油、22.78 km/Lを記録(WLTCモード燃費は24.5km/L)

15:全体の品質感 9点
外観の細部のつくりや、内装の材質感など、全体の品質感は高い

16:お買い得感 10点
販売の中心となるモデルは、HYBRID MX(2WD・CVT)になると思われるが、200万円以下の価格設定はお買い得

総合評価点:8.375点
※車評評価チームでは、そのジャンルごとに採点し、総合評価点5点が標準的なレベルとしています

3大魅力点
1.コンパクトなサイズの取りまわしの良さ
2.使い勝手が良い4ドアと便利なハッチバック
3.ターボ付軽自動車以上に経済性の高い燃費性能

改善希望点
一般道では静粛性は全体的に高いが、高速道路では路面状況によって発生するロードノイズと、唯一見にくい空調関係のスイッチの文字と夜間の照明色。将来発表されるスポーティモデルの四代目スイフトスポーツの登場にも期待したい

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