2012年2月9日
『日本のトラック・バス』刊行にあたって、本書を企画したきっかけや思いをお伝えします。
◆『日本のトラック・バス』刊行にあたって◆
まだ幼い頃のことです。私が生まれ育った東京の家の前には、早くから舗装された比較的道幅の広い道がありました。当時の東京は建築ラッシュといわれた「高度成長期」まっただ中であり、ものすごい量の土砂を積載したトラックが、爆音ともいえる排気音で走ってゆく姿を今でも鮮明に覚えています。まだボンネット型のトラックが現役として使われていて、子ども心にも、主流になってきたキャブオーバー型のトラックより明らかにカッコ良く、また力強く感じました。
本書『日本のトラック・バス』はそんな記憶の中のトラックを振り返り記録として残そうと、企画された本です。
一般的に商用車や実用車は、役目を終えてしまうと忘れ去られてしまいます。しかし戦後の復興期もその後の高度成長期にも一翼を担ったのはトラックです。たとえ悪路だとしてもある程度の道さえあれば、自由に多くの物資を運搬する事ができるトラックは忘れてはならない存在でしょう。
あの東日本大震災でも、被災地に多くの救援物資を運ぶトラックの映像を見た方も多いと思います。機動力では電車や飛行機は、トラックにはかないません。
本書は、できるだけ多くの車種をカラーで収録することで、資料性を高めることを目指しました。デジタルによる製版技術が進化したおかげで、当時の資料をほぼ忠実に再現できています。本書の価格は少し高いと思われるかもしれませんが、ぜひ本書で”縁の下の力持ち”のトラックの存在を懐かしく思い出してください……。
(編集部)