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2022年4月1日

2022年3月25日(金)~27日(日)にかけて、東京ビッグサイトにて第49回東京モーターサイクルショーが開催されました。その様子をお伝えします。(レポート:小林謙一)

2022年3月25日、国内最大級のモーターサイクルイベントである「東京モーターサイクルショー」が3年ぶりに東京ビッグサイトで開催された。第49回目となる今年の会期は3日間で、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内メーカーに加えてBMW、KTM、ハーレーダビッドソン、トライアンフなどが最新のオートバイを展示する。9時30分から開会式が行なわれ、10時からプレス関係者の取材が可能になった。約2時間という短い時間であったが、国内主要各社の動向を簡単に紹介したい。

■ヤマハ

プレスカンファレンスのトップバッターはヤマハだった。ヤマハ発動機販売の石井謙司社長によって「GO With YOU」をテーマとした今後の展開が語られた。近年増え続けている若いライダーをヤマハとしては積極的に取り込み、育ててゆくという。YSP(ヤマハスポーツプラザ)も73店舗から100店舗に増やし、若者層に向けたレンタルバイクの拡大、ライディングの向上、レーシングファンクラブの強化などを推進するという。MAXシリーズ、MTシリーズ、Rシリーズ、スポーツヘリテージシリーズに加えて、TIE2.0(ECトライアル)も展示され、注目を集めていた。

■BMW

次はBMWのプレスカンファレンスだった。ゼネラルマネージャーの佐伯要氏の挨拶から始まり、年間販売台数が過去最高の5886台が国内販売されたことなどが発表された。この数字は、10年前の2倍以上にあたるという、BMWは好調な販売状況をバックに「MAKE LIFE A RIDE」をテーマとして、国内では多くの魅力的なモデル展開をはかるという。

■ホンダ

HONDA HAWK 11(ホンダホークイレブン)は生産予定車

125ccエンジンを搭載した新世代のDAX

ディスクブレーキを新たに装着したCC110の特別装備車

GB350の特別装備車

高橋国光さんを偲ぶコーナーも設置されていた

ホンダのブースは、早くから多くのプレス関係者がブース内に集まっており、特に生産予定車のHAWK 11(ホークイレブン)やリバイバルを果たしたDAX、希少な単気筒モデルのGB350などに注目が集まっていた。壇上に上がったホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博社長からは、近年発生している多くの注文による新車の納期の遅れに対するお詫びが延べられ、ホンダは、「HONDA GO RIDE」を掲げ、好評のアフリカツインなどの数多くの新型車を揃えていた。1969年にデビューして人気を博したDAXは、新たに125㏄エンジンを搭載してDAX125となり、現代のファミリー&レジャーとして提案。また、ホークイレブンは、日本のオートバイ市場を支えている大人のライダーをターゲットに開発したという。FRP製のロケットカウル、トルクの優れた中低速域、魅力的な排気音などに加え、このホークイレブンが日本専用のモデルとして開発されたことなどが語られた。

ホークイレブンのエンジンは、アフリカツインをベースにしている。室岡社長の「手の内の大きさ」との発言の通り、全体的にコンパクトにまとめられており、跨ってみると足付き性も良く、セパレートハンドルもそれほどきつい前傾姿勢を強いられる印象ではなかった。特徴的な位置の左右のミラーの視認性は良好だった。

■スズキ

スズキのブースでは、今年プレスカンファレンスは行なわれなかったが、最高速度などでも世界トップレベルを誇る「Hayabusa(ハヤブサ)」は、1999年に登場以来、三世代目となった。「究極のスポーツバイク」を開発コンセプトに掲げ、今回の新型では、エンジンを徹底的に見直して、耐久性や実用領域の出力を上げ、利便性を向上させたという。

新型ハヤブサのコンセプトは「凶暴さを制す知性」。エアロダイナミクスの優れたデザインはハヤブサの大きな特徴となっている。

近年、世界中で流行しているアドベンチャーモデルとして投入されたVストローム1050XTも雰囲気のあるディスプレイが施されていた。VツインのDOHC4バルブエンジンは、低速域から力強いトルク発生をするという。

独特の“クチバシ”デザインは、機能性とデザイン性を両立させており、カラーリングもスズキの伝統的な色調を継承する。

■カワサキ

カワサキのブースでは、1970年代に一斉を風靡した人気車カワサキZ1をモチーフに開発したZ900RSは相変らず若いライダーなどの注目を集めていた。カワサキZ1誕生50周年を記念して発売したアニバーサリーモデルもZ900RSの標準モデルよりも11万円高の1,496,000円(税込)であるが、多くの注文が入っていると聞いた。

Zシリーズと共に、カワサキを代表するブランドのひとつとなっているWシリーズも「メグロ」ブランド復活によってさらに明確化され、強化されている。

メグロK3は、ベースとなったカワサキW800(税込1,177,000円)に比べて143,000円高の1,320,000円(税込)だが、クラシカルな外観が好意的に受け入れられて、高年齢のライダーを中心に支持を得ている人気のモデル。

イタリアで生産され、カワサキでも取扱いされているBimota KB4も気になるモデルである。4,378,000円(税込)と高額だが、性能もデザインも一級品であり、一度は試乗してみたいと思う夢の一台である。

KB4のコンセプトは、「乗りやすく、トルクがあり、軽量なバイク」を実現すること。着目したのは、「Connection(関係性)」。ライダーと路面、ライダーとマシンの関係性を徹底的にシンプルにすることで、構造物を減らし、軽量かつダイレクトな車体を完成させたという。アルミ削り出しで作られたスイングアームを、ワイドパワーバンドで扱いやすいエンジンに直結させ、タイヤの挙動やサスペンションの動きが感じ取りやすくなっていると解説している。また、高品質なカーボンファイバー製のボディパーツを採用。質量を減らすことで、KB4でコーナーに向かえば、その比類なきハンドリングと、スロットルをひねると力強く、滑らかに紡ぎ出されるパワーを体験できるという。

東京モーターサイクルショー協会の発表資料(2022年3月28日付)によれば、2022年3月25日から27日までの3日間におよぶ入場者数は、前回入場者数149,524人の83%に当たる123,439人であると発表された。出展者数は前回と同じく153者であり、展示台数は5台増えて560台となっている。近年、日本では若い人を中心に、オートバイは空前のブームになっていると聞いているが、初日の来場者も若い方々が通常よりも目立って多い印象を受けた。この東京モーターサイクルショーは、間違いなく東京圏で催される最大級のオートバイ展示であり、東京モーターショーに匹敵する大イベントである。

日本のオートバイ産業は、世界トップの基幹産業であり、これからもオートバイファンの期待に応えるような魅力的なイベントに、さらに発展してゆくことを期待したい。

リポート/小林謙一

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